■ ナーシングホーム野里 ■五所川原市の野里に建つ、40室(定員42人)の住宅型有料老人ホームです.
事業母体である医療法人済生堂 増田病院との連携、24時間365日の看護師常駐体制など、特に医療的ケアの充実に力点を置いた運営を行なっています.
それから、老人ホームを補完する機能として、訪問看護のざと、居宅介護支援事業のざと、訪問介護のざと、デイサービスのざとを併設しています.
飯詰を経由して金木に至る古い街道に面したこの場所からは、西に岩木山、東に梵珠山を望むことが出来ます.
元々は、地域に愛された旧野里小学校の跡地で、農村集落とりんご園に囲まれたのどかな環境です.
校庭だった場所には芝生を植え、既存の木も出来るだけ切らないようにし、野里小学校の名前が残る2本の門柱もそのまま残し、小学校だった名残りを大事にしました.
建物は、この地域に馴染むよう2階に抑え、眺めの良い芝生広場に面した南側に居室棟を、中庭を挟んで北側にデイサービス棟を配置し、共用部分でそれをつなぐ構成としています.
2階建てコの字型平面と、3つの天窓、大きな高窓により、光と風が感じられる、あずましい空間となっています.
断熱性能は、次世代型省エネ基準の1.5倍を確保しています.
快適性、メンテナンス性、安全性や、イニシャルとランニングコスト等を考慮し、エネルギー源は電力に頼っています。
冷暖房は深夜電力利用型蓄熱暖房、ヒートポンプ床暖房、エアコンを適材適所で設置しました.
停電時でも、数日は暖かさを確保出来ます.
給湯は業務用、家庭用エコキュート等を適材適所で設置することで、使用電力量のピークの分散を図りました.
心地よい療養環境、居住環境は、お年寄りに喜んで頂けていることと思います.
また、豊富な地下水を利用した、無散水型融雪を前面駐車場に施しています.

道路から見た、東側正面外観です.
入口の左右に、旧野里小学校の門柱が見えます.
看板は、どちらから来ても見やすいように、への字型の平面をしています.
古くからの松の木が見えます.

玄関廻りです.
駐車場は、埋設配管に地下水を循環させ、融雪しています.
ランニングコストは、ポンプの電気代だけです.
左側が2階建ての居室棟で、右側がデイサービス棟の監理部分です.
キャノピーの上に見えるシルバー部分は、室外機置場です.
建物の廻りは、出来るだけ多様な植栽を植えました.

キャノピーの詳細です.
車の寄り付きを考慮し、ポーチの柱を引っ込め、庇を大きく出しています.
キャノピーの高さは、救急車から決められています.
天井は、青森ひばです.
右に見える足洗場には、飲料用の上水と散水用の地下水を用意しました,

外壁詳細です.
耐候性の高いガルバリウム鋼板を使用しています.

東側と、サービス通路に面した北側を見たところです.
冬の西風よけの機能を持たせた、通用口のキャノピーが見えます.

職員駐車場のある北西から見たところです.
左に、西風除けの付いた3つの通用口などが見えます.
中央は設備スペースで、有孔折板で目隠しをしています.
その右に隠れているのは、デイサービスにある浴室用庭(バスコート)の囲いです.

西側外観です.
西日を考慮し、西面の窓は極力減らしています.
外部階段は、錆に強い溶融亜鉛メッキです.

デイサービス前のテラスから見た中庭です.
散策することが出来ます.
正面に居室棟が見えます.

デイサービスを屋上から見た所です.
上に見えるのは、高窓です.
中庭の黒土部分では、簡単な畑も出来ます.
奥にりんご園が見えます.

デイサービス棟の屋上から見た居室棟です.
りんご園と岩木山が見えます.
りんご園との仕切りも、フェンスではなく植栽で行なっています.

居室棟を南西から見たところです.
左端は二人部屋で、西に飛び出したシルバーの分だけ広くなっています.

居室棟の遠景です.
芝生広場は、多様な使い方が出来ます.

居室棟のラウンジを正面から見たところです.
テラスでは、食事をする事も出来ます.

居室棟南側のラウンジに面したテラスです.
正面にりんご園が見えます.

玄関の詳細です.
正面ロビーを通して中庭が見えます.
自動ドアの追突防止用シールは、リンゴの形をしています.

ロビーと事務室が見える玄関です.

中庭の見えるロビーです.
左に行けば居室棟です.
床の色が切り替わるところで、普段は隠されている引戸で閉じることが出来ます.
天窓があります.

ロビーから見た事務室です.
普段のカウンターは開放的にしていますが、必要に応じハンガードアで仕切ることが出来ます.
左は、デイサービスに通じます.

多様な使い方が出来る、相談室です.

共用部分のトイレです.
自立者も、介護の必要な方も、利用しやすいように考えました.

デイサービスを、入口から見た所です.
天窓とテラスのある中庭が見えます.
左にはキッチンのカウンターも見えます.

デイサービスから、中庭と浴室方向を見たところです.
大きな天窓のおかげで、十分な明るさと風を感じることが出来ます.

小上りと脱衣室方向を見たところです.
脱衣室入口には、のれんを設けました.
壁には、杉板を貼っています.

10.5帖の小上りです.
天井には、吸音も兼ね網代を貼っています.
正面壁の色は、錆朱という日本の伝統色です.
この建物は、古代紫や、利休、金茶、鉄紺など、日本の伝統色を色々なところで使っています.

脱衣室です.
左は、乳半の飛散防止フィルムを貼った浴室入口引分け戸です.
正面は、汚物処理室とトイレです.
右にのれんが見えます. のれんは赤と青の2種類を用意しました.

脱衣室から浴室方向を見たところです.
洗面カウンター前には、長寿の象徴である亀甲型タイルを貼っています.

浴室です.
利用者の状態に合わせ、2種類の機械浴と大浴槽を設けました.
浴槽部分も含め、床暖房を施していますので、暖房としての機能は勿論のこと、入浴後の除湿効果も期待しています.

浴室には、バスコートを設けました.
開放的な雰囲気を、味わうことが出来ます.

赤御影を加工した吐水口です.
浴室と厨房の給湯は、業務用のエコキュートで行なっています.
貯湯量は5㎥で、不足しそうな時は、追い炊きをする事が出来ます.

居室棟1階のラウンジです.
広いテラスに、そのまま出ることが出来ます.
市松模様の床は、華やかさを演出しています.

居室棟2階のラウンジです.
コンサートが開かれることも度々です.
左側の窓からは、梵珠山を見ることが出来ます.

ラウンジのサービスカウンターです.
入居者が、ここで寛ぐことも出来ます.

居室棟1階にある浴室です.
デイサービスの浴室を利用することが不都合な場合などに、利用することが出来ます.
モザイクタイルの仕上げと、ドイツのハンスグローエ社の水栓金物が、非日常性を演出しています.

階段です.

居室棟1階廊下の突き当たりにある、サロンです.
ここからは、りんご園を間近に見ることが出来ます.

2階サロンです.
ここからは、りんご園越しに岩木山が見えます.

居室の入口です.
ドア上に見える室名札は、素朴な味わいの葉っぱ型タイルを利用したものです.
表札は、正方形の木の板を利用しても、入居者が用意しても構いません.
表札廻りは、掲示板になっています.
引戸の巾は、ベッドの搬入が楽なように、有効で1200巾を確保しています.
ドアの仕上げは、本物のなら練り付け合板に塗装した手造りです.

2人用居室です.
芝生広場に面したこの部屋からは、岩木山もよく見えます.

2人部屋の入口側を見たところです.
ユニットバス、洗面、トイレを備えています.
居室の床壁天井の仕上げ色は、4種類のパターンに分けました.

南側夜景です.


所 在 地 五所川原市神山
構造規模 鉄骨 2階建て
竣 工 2014年5月
施工会社 株式会社ナカノフドー建設
次の仕事
「清原1丁目の家(改装)」 へ。
ここに掲載されている写真などの著作権はアラハバキ建築研究所にあります.
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- 2015/03/05(木) 13:45:08|
- 仕事・・・医療・福祉施設|
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