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Arahabaki Institute of Architecture




  アラハバキ建築研究所
   http://www.arahabaki.net  e-mail:arahabaki_k@ybb.ne.jp
      TEL:0172-89-1855               FAX:0172-89-1856   

Q&A





   ・・・Q&A・・・


Q1. いきなりですが、相談は有料なんでしょうか?

A1. 
勿論、最初から料金を頂くようなことは、していません。
まず最初に、色々とお話をさせて頂きます。
それで宜しければ、建物の計画案(図面と模型)、概算工事費、それから設計監理料の見積書を作成します。
その案を元に、1回目の打合せをさせて頂きますので、あなたのパートナーとしてふさわしいかどうか、判断してみて下さい。
そこでお互いに合意が出来ましたら、設計作業を進め、設計監理契約を結びます。
第1案までは無料で対応しますすから、気軽に何でもご相談下さい。
でも、例えば既存建物の現況調査に、多大な労力が必要となる時など、どうしても無料で計画案を作成するには、無理な場合もあります。
その様な場合は、あらかじめ費用の事などお話ししますので、宜しくお願いします。

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Q2. 安心しました。
   実際には、設計の作業はどんな流れになるんでしょうね?


A2.
大雑把に言って、基本設計 → 実施設計 → 施工者選定 → 工事契約 → 監理 という流れになります。
基本設計とは、設計条件を整理して、間取りや空間の構成を検討していきます。
施主の夢を、大きく膨らませる大事な作業ですね。
何度も施主と打合せをして、細かい所も徐々に煮詰めていきます。
構造や仕上・電気設備・機械設備も、平行して方向性を決めていきます。
実施設計とは、内容をさらに煮詰め、建築確認申請を出したり、施工会社に見積を依頼し施工するための、詳細な図面を作成する作業のことです。
先日竣工した住宅の場合ですと、A2版で65枚になりました。

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Q3. そんなに図面を書くんですか?
   全部自分の所で?


A3.
但単に枚数を増やしたいのであれば、余白を広くしたり1枚で表現できる内容を2枚に分けたりすれば、簡単にできる事です。
或は、メーカー既製品の詳細図データーをダウンロードして、それをそのまま図面化すれば、やはり、簡単に図面枚数を増やす事が出来ます。
しかし、問題は図面の枚数ではなく、図面の内容や密度だと思っています。
図面を書くにあたって、どれだけ悩み考え、どれだけ葛藤したかだと思っています。
我々の考えた量は、建物の質となって現れてくると思っています。

それから、電気設備や機械設備は基本的な所を検討して、専門の協力事務所に、詳細な検討や図面をお願いしています。
暖房や換気の詳細な計算等も、やって頂いております。
構造は、鉄骨や鉄筋コンクリートであれば、構造計算と構造図を、専門の協力事務所に依頼しています。
木造も、特殊になれば、構造計算を依頼していますね。
それから、ただ単に協力事務所にポンと投げるのではなく、お互いに大きな所から細やかな所まで検討を繰り返し、建築としての完成度をより高めていくための努力を、積み重ねています。
それに監理の時にも、さらに内容を煮詰めた図面を書いているんですよ。

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Q4. へー! それで? その後はどんな作業になるんでしょうか?

A4.
施工者の選定、つまり、実際にその建物を施工して頂ける会社を、選定する作業に入ります。
具体的には、信頼できる施工会社を対象に、実施設計で作成した図面を元に、見積り合せを行ないます。
予算内で納まって、施工会社としてしっかりしていている所が見つかれば、工事契約を締結します。
見積りによっては、設計内容を見直します。
この作業と並行して進める事が多いのですが、実施設計が終わった段階で検査機関に確認申請を出して、法的に問題がないかをチェックして貰います。
建物の種類によっては、消防や保健所など、多岐にわたる事もあります。

着工後は、我々の作業は、監理と言う段階に進みます。
監理とは、建設会社が本当にキチンと施工しているかどうかを、設計者として監理したり、設計内容の細かい所まで意見を出し合って再検討し、最終確認する作業です。
監理とは、図面通りの建物が出来るかどうかを、設計者として確認する事だと思っている方が多いようです。
しかし、我々の考えている監理とは、図面よりもっと良い建物を創るための、大事な作業だと考えています。
計画案が良くても、建物としての完成度が低いと、どうしようもありません。
ですから、建物が竣工するまで、気が抜けないんですよ。
勿論、最後にメンテナンスという大事な作業が残っています。
それから、敷地選びの段階から係わる事もありますし、事業計画の段階から係わる事もあります。

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Q5. それでは、設計監理料はどの位になるんですか?

A5. 
建築の種類により、設計監理の難易度は大きく異なります。
倉庫のように大雑把な建物から、住宅のように細やかな建物まで色々ありますので、一概に言えません。
面積によっても、作業量は異なってきます。
しかし、面積が倍になったからと言って、作業量が倍になると言う訳ではありませんから、設計監理料も倍にはなりません。
いずれにしましても、上記のQ&Aで述べましたように、計画案を作成した時に設計監理料を算定し、見積書も提示しますので、総合的に判断して頂ければと思います。
それから、設計料を高くするために、故意に工事費を吊り上げる事にもなりかねませんので、工事費に対して何%というやり方はしていません。

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Q6. でも、設計施工の場合、設計料は出てきませんよね。

A6.
騙されてますねー。
表に出てこないだけで、実際には工事費に上乗せしているだけですよ。
たとえ設計施工であっても、自分の設計内容には充分価値が有ると、自信を持って言えるのでしたら、堂々と設計料を提示していいと思うんですがね。
しかし、実際には、ほとんど表に出てきません。

既製のプランの中から、どれかを選ぶような設計であれば、設計料はいらないでしょう。
あるいは、オリジナル性のない、どこにでもあるような建築の場合も、設計料を請求するのに躊躇するかもしれません。
しかし、「造る」と「創る」は根本的に違います。
施主が思い描く夢を、独創性を持った世界にたった一つの理想形に創り上げるためには、充分な思考と膨大な作業量が必要となります。
設計料は、その思考と作業を確保するために必要なものだと言う事を、理解してください。
それに、いい物を安く創りたければ、我々のような設計事務所に依頼した方がずっと徳ですよ。

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Q7. 本当ですか・・?

A7.
設計施工の場合は、仕事さえ確保すれば、後は出来るだけ安く仕上げて、利益を確保しようとします。
そのことが、手抜きや欠陥の原因になっているのは、明らかです。
勿論、無知から来る手抜きや欠陥もあります。
しかし、工事費を押える為に、人件費の安い無知な人を現場担当にしていたり、職人任せで施工している事が原因ですから、根は同じです。

それから、設計施工であれば、工事内容を細かく確認しておかないと、後から「これは見積りに入っていません」と言うような事が、沢山出てくるでしょうね。
「草刈りは契約に入っていません」と言われ、着工前に自分で草を刈った人もいました。
施工会社に、足元を見られていますよね。
それに、最初から見積りに入っている物は、仕事を取るために大きく値引きします。
しかし、契約後はどうしても、施工会社のペースになってしまいます。
後からの追加(オプション)や変更は、ほとんど値引きをしないで、そこで利益を確保していると言う話は、よく聞きます。

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Q8. なるほどね。


A8.
先日ちょっと相談された話だと、最初の契約金額は普通だったのですが、工事中や竣工後の追加、追加で最終的に倍近い値段になったらしいですね。
この例では、追加で儲けるために、最初は最低限の内容で契約したのではないでしょうか。
それに、最初から施工に入っているのが当たり前のような物まで、追加請求をしていましたから、呆れる話しです。

どうですか? このような事のチェックは、一般の施主にはとても無理ですよね。
騙されて当たり前です。

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Q9. 「安くしておきますよー」という言葉に、人間は弱いですからね。

A9.
それからもう一つ、築15年の家をリフォームした時の例ですが、その家は変な平面をした、無駄の多い、とても使いにくそうな家でした。
それで、施主に聞いてみたのですが、施主が「ああしたい、こうしたい。」と言ったものを、「はいはい、出来ますよ。」と、たいした検討もせず、そのまま図面化してしまったそうです。
気がついたら契約をさせられたそうで、施工者からのアドバイスは、一切なかったとの事でした。
つまり、「造る」はあっても、「創る」はなかったと言う事です。
出来てしまってから気がついても、後の祭りです。

自由設計で、施主の好きなように建てられると聞けば、とても耳障りがいいのですよね。
でも、考えてみれば、建築に素人である施主の考えている事には、どうしても限界があるはずです。
二次元の平面は考えられても、三次元の立体までイメージするのは、どうしても難しいでしょう。
それに、自分の今までの生活体験から抜け出したような空間は、やはり、それなりの訓練を積み重ねた人間でないと、無理があると思います。
施主は、生活のプロではあっても、建築のプロとは言えません。
生活のプロである施主の夢に対し、建築のプロである建築家が具体的な空間を提案し、さらに二人三脚で理想の建築に育てて行くと言うのが、最良のプロセスだと思います。

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Q10. 具体的には、どのようにしていくのでしょうね。

A10.
使いやすい建物にするには、コツがあります。
それは、今持っている家具や、これから買う予定の家具、それに施工に含め造り付けにする家具を、一つ一つ平面に書き込んでみる事です。
家具を考えれば、そこで行われる具体的な生活や行為がイメージできます。
家具に合わせ、平面を変えたり、窓やドアの位置をずらす事は、よくある事です。
空間の具体的なイメージも、段々浮かんできます。
でも、そのような「設計作業」は、はたして設計施工でも期待できますでしょうか?
住宅展示場を見に行っても、施主持ち込みの家具はおかれていませんから、この差は分かりにくいと思いますが、とても大事な事です。

それから、敷地や建物に、無駄な部分や使いにくい所は無いですか?
折角の空間が、居心地悪くなっていませんか?
もしかしたら、もっと気持ちのよい建物になったかも知れないと、思いませんか?
結局は、高い買物をしていませんか?

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Q11. そうですよね。
   まさに、安物買いの銭失いじゃないですか。


A11.
それから、坪単価にも惑わされない事ですね。
ハウスメーカーでも、いわゆる坪単価を抑えて、色々な物を別途や付帯工事として分けているケースが、ほとんどです。
例えば、照明器具や外部の給排水、ガス、カーテン・ブラインド、キッチン、ポーチなど、建物として絶対必要な物まで別枠にして、坪単価に含めないでいる事が多いので、気を付けなければいけません。
私の場合は、特別に高価な照明器具や暖炉や、軟弱地盤などのように特殊なケースでない限り、分けて考えませんので安心してください。

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Q12. それは心強いですね。

A12.
もう一つ、住宅メーカーのことで、注意しなければならない事があります。
それは、TVコマーシャルやチラシなどで宣伝されている仕様と、実際の仕様は、大きく異なる場合が多々あると言うことです。
先日、某大手ハウスメーカーの住宅の図面を、見させて頂きました。
その会社は、とても立派な断熱を行っているように、コマーシャルしているところです。
しかし、図面では一般の大工さんが、普通に行っている断熱仕様と同じでした。
その程度の仕様でもやっているのかなと思い、ホームページを調べてみましたが、「立派な断熱」は見つける事が出来ましたが、「普通の断熱」は見つけることは出来ませんでした。
コマーシャルと実際にやっている事とは、まるで違うと言うことがハッキリ分かりました。

それと、いわゆる条件付きの土地というのも、問題が多いですね。

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Q13. 施工会社が決まっている、土地の事ですか?

A13.
施主はその土地に住みたい、でも施工会社はそこにしなければいけない、というのは不自然ですね。
施主が、その土地に自分の思う通りに自由に建てたいという願いを、踏みにじっていますからね。
その土地の自由な経済活動を妨害し、1社のみの設計施工に限定している訳ですから、ある意味、独占禁止法に違反するのじゃないのか、と思いますがどうでしょうか。
土地と建物は、分離させるべきです。
それに、土地という絶対的な条件を持っている施工会社が、最初から施主に対し優位な立場にありますよね。
土地の価格は、競争の原理が働いているかもしれませんが、建物の価格は独占的ですから、競争の原理が働かないのは明らかではないでしょうか。

実際、そのような建物をリフォームした事がありますが、全く使い勝手の悪い建物でしたね。
その建物は、素人である施主が言った事をそのまま平面にして、後は施工会社が勝手にどんどん進めてしまい、あれよあれよと言う間に建物が出来てしまったと言う事でした。
途中で、何か口を挟んでも、「これでもう進めていますから」と言う事で、施主の言う事を聞いてくれなかったらしいです。
これでは、使いにくい建物になるのも、当たり前ですね。
しかも、材料等は普通の物なのに、ビックリするような坪単価でした。
高くて、使いにくい。
最悪ですね。
消費者保護の面からも、問題があると思いませんか。

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Q14.  そんなところで自由を束縛されるというのは、確かに問題ですね。
   しかも、そんな状況で私たちの懐まで痛んむというのも、嫌ですね。
   ところで、施工会社は決まっているんですか?


A14. 
私の場合、特に決めてはいません。
それに、施工会社に対し自由な立場でいなければならないと、考えていますから、施工会社のいわゆる下請けも一切行っていません。
実施設計の図面が出来上がった段階で、その建物に適切な施工会社を数社選択し、見積り合せを依頼します。
基本的に、その中で一番安い見積金額の施工会社を、施主に推薦します。
価格面で問題がある場合は、色々と交渉します。
最初は値引き交渉し、必要であれば設計変更をして、予定価格に合わせるようにします。
お互いに合意した場合に、我々も含めた三者で契約を交わし、そして着工します。
ただ、特定の施工会社にお願いしたいというような要望がありましたら、相談に応じますのでお話しして下さい。
専門業者やメーカーについても、同じです。

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Q15. 見積り合せ、ですか?

A15. 
入札ですと合計金額だけの競争ですから、本当に見積もりしているのか、分からないですよね。
見積り合せの場合は、内訳書も出して頂きます。
内訳書の中には材料の数量や単価なども銘記されていますので、真面目に見積りをしているかどうかも確認出来ます。
丼勘定でしたら、後々困りますよね。
それから金額ですが、高い施工会社と安い施工会社を比較したら、75%位の差が出たことがあります。
金額にして、ほぼ1億円でした。
これは極端な例ですが、大体は20~30%位の差は出ますね。

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Q16. ええっ? そんなに差が出るんですか?

A16.
そうですね。
同じ図面から見積りしているのに、ビックリですよね。
建設費は、値段があってないようなものだとよく言われますが、本当にそう思います。
でも見積り合せは、細かい事まで明記した図面と仕様書がキチンと揃っているから、出来るんですよ。
それが曖昧な状態で、見積り合せをしても、どのような建物が出来るのか、まるで分かりませんね。
A社とB社で、使用する材料が違っていたら、まるで比較になりません。
見積りが安いからと言って、安かろう悪かろうでは困ります。
見積り合わせは、良い物を安くつくるための最適な方法だと思っています。

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Q17. それじゃ、監理もするんですね?

A17. 
勿論、ガッチリ監理します。
欠陥建築としないためには勿論ですが、建築としての完成度をさらに高めるためにも、当然必要なことです。
規模の大小に関わりなく、最低でも1週間に1度、現場で綿密な打合せを行います。
その他、工事の進捗状況に合わせ、しつこい位に施工状況の確認や打合せを行います。
そうすることで、お互い納得のいく、使いやすくて心地よい建物が出来ます。

ただ、常時、現場に付いているわけでは、ありません。
たとえ24時間付いていたとしても、全ての職人の動きを監視出来るわけでも、ありません。
しかし、必要な時にキチンと現場を見て廻れば、職人はその期待に応えようと、真面目に施工してくれるようになります。
信頼しながら、見るべき所はしっかりと見る事が大事だと思います。

人間は、信頼されると、それに応えようと、丁寧な仕事をするようになりますよね。
しかし、時には、首を傾げたくなるような事が、あるのも事実です。
残念なことに、人間がやることですから、全てを信用する事は出来ないと思っています。
(最近、建材等についても偽装やら何やらが次々と明らかになりました。一体何を信用したらいいのだろうかと、真剣に悩みますね。)
問題と思われるような事は、悪意とまでは言わなくても、無知による物や、この位はいいだろうと思う慢心から来る物もありますね。
ですから、職人一人一人の腕は勿論の事、建築に対する愛着と真摯な態度が、非常に大事になると思います。

設計でも施工でも、大小の問題(普通であれば問題と感じないような問題も含めてですが)は、多数派生します。
その問題を繰り返さない努力を続ける事と、問題が派生した時にどう対処するかが、その建築と建築家の価値を決めると思います。

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Q18. その姿勢は大事ですよね。
   私たちの大事な建物を託すのですから、ガッチリ監理して頂きたいですよね。


A18.
そうですね。
私の施主は、いわゆる施主だけではなく、建物も施主だと思っています。
ですから、「施主が満足すればそれで十分」とは考えていません。
建築としてキチンとした物を建てないと、建物と言う施主に申し訳ないと思っています。
その事が結局は、本来の施主の利益にも直結すると思います。

実は、もう一つ施主が居るんですよ。
それは、社会ですね。
地域社会に、スムーズに受け入れて貰えるような建物を、いつも考えています。
そのような建物は、施主にとって大きな財産になると思います。

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Q19. 施主がいっぱい居て大変ですね(笑)。

A19.
確かに大変かもしれませんが、建築家にとってあまりにも当たり前の事ですからね。
当然です。

脇道にそれて、監理の話が途中になってしまいました。
以前、鉄筋コンクリート構造の大きな建物の一部を、リフォームする仕事をした事がありました。
最初に古い内装を撤去し、コンクリート構造体をむき出しの状態にしてみたら、あまりにもひどいコンクリートでビックリ仰天、ただただ唖然としてしまいました。
あっちを見ても、こっちを見ても、ジャンカだらけ。
(ジャンカとは、コンクリートがきちんと充填されていなくて、雷おこしのようなボロボロの状態を言います。)
それから、タバコの吸い殻や空き箱、それに空き缶まで、コンクリートの中に多数見えました。
あきれます。
ジャンカが出来たり、異物が混入したりするのは勿論ダメな事です。
しかし、一見すれば分かるような不良箇所を、補修もしないでそのままにしておくのは、輪をかけて無茶苦茶な話であり、まるで話になりません。
これでは、構造としての強度が十分発揮されませんし、外壁であれば雨漏りの原因にもなります。
欠陥建築であるのは明らかです。

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Q20. それはあきれた話ですね。

A20.
設計も施工も、全国レベルで名の知れたいわゆる大手でしたが、まるで監理をしていなかったのか、あるいは、顔についているのは節穴だという事でしょうか。
この事からも、大手だからといって決して安心は出来ないという事と、監理がいかに大切かという事が解るかと思います。

このような事にならないよう、構造に関する部分や、仕上げで隠れて見えなくなる所など、大事な部分については特に入念に確認しています。
施工後、写真で確認するのは気休めにしかなりませんから、現場に足を運び自分の目で直接確認していますので、安心してください。

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Q21. 安心しました。
   ところで、ローコストの場合でもやっているんですか。


A21.
勿論です。
今までやってきた建物のほとんどが、ローコストな建物だと思っています。
ただ注意して欲しいのは、イニシャルコストを抑えても、後々のランニングコストや、メンテナンスコストが大きく膨らんでは意味がありません。
それに、建物としての快適性が犠牲になってしまったら、何のために建てたのか分からなくなってしまいます。
しっかりした物を造ると言う事を大前提に、総合的にローコストな建築をいつも追求しています。

それから、極端な例ですが、安売り大量生産のファーストフードと、精魂込めて作られた手料理の値段を、比較するような事は止めましょうね。
全てを吟味しましょうとは、言いません。
しかし、全てを安かろう悪かろうにするのは、やめた方がいいと思います。

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Q22. それは確かに、比較の対象にする方がおかしいですよね。
   それから、建てた後のコストも、十分考える必要がありますね。


A22.
そうですね。それを踏まえて、なおかつローコストを追求した方が良いと思います。
いつも心掛けているのは、無駄をなくする事ですね。
床面積が、コストに一番ストレートに、跳ね返ってきます。
無駄な空間を造らず、狭いけれども使い勝手もよく、広く感じられるようにすることは、建物を設計する上で一番の基本ですね。
その他の無駄な物としては、意味のない凸凹、邪魔な壁や建具、過剰な装置や設備等々、色々考えられます。
例えば、考えた人はよいデザインだと思っているのでしょうが、第三者からみると無駄にしか見えない事がよくあります。

無駄を省きながら、もっと本質的な所をデザインするという事が大事だと思います。
それから、和室に当然のように付いている床の間も、後で物置になっている場合がよくあります。
本当に必要な物かどうか、施主と一緒に考える必要があると思います。

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Q23. そうだっ! 無駄は、どんどん削って行くべきだっ!!!

A23.
あまり単純に、考えないで下さい。
極端ですが、「大人の遊びは、何の役にもたたないから、楽しいんだ」と言う人も居るくらいです。
建築で言えば、庇や縁側のように一見無駄な様ですが、実は非常に有意義な物もあります。
そのようなものはキチンと見極めながら、極力大事にしていきたいと思っています。
それから、自然の力=太陽や風や地熱などを出来るだけ取り入れる事も、大事だと思います。
無駄な物を造らず、現在あるものを有効に活用する事が、一番のローコストだし、エコロジーへの一番の近道ですね。
でも、これから建てようとしている建物が、本当に必要なものなのかどうか。
もしかしたら、それが一番の無駄かも知れません。

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Q24. そうですよね。
   後で建てなきゃよかった、なんて事になったら辛いですよね。


A24.
幸いそんな事はありませんが、もしそうなったら、これ以上悲しい事はないですよね。
それから、ローコストとして心がけているのは、安くてもしっかりした材料を使うとか、職人の種類を減らすとか、大事ではない部屋の仕上げは省略するとか、合理的な設備や構造にするとか、きりがない位いっぱいありますね。

例えば、2階の床や屋根の構造を現しにする事がよくありますが、これだってローコストの意味もあってやっている事です。
こうすると、天井仕上げが要らなくなるし、上の階の床板までが天井として使えます。
その分、全体の高さを低く抑える事も出来ます。
高さを抑えれば、外壁の表面積=仕上げ面積も減るし、必然的に逃げる熱も減ります。
勿論、階段の上り下りも楽になります。
壁や天井の構造を現しにしているのも、同じ様な理由ですね。

もう一つ、総合的なローコストとしていつも考えているのは、建物の寿命を長くする事ですね。

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Q25. 折角建てる建物ですから、長く使いたいですよね。

A25.
ローンが終わった時が建物の寿命だったら、ガッカリですよ。
欧米に比べ、中古住宅の流通が少ないのも、建物の寿命が影響していると思います。
木造でも法隆寺のように長持ちさせる事が可能なのですから、せめて50年位は使い続けたいですよね。

木造であれば、一番怖いのがシロアリや水による腐れです。
その為の対策として、床下に、全面防湿コンクリートを敷いています。
土台には、腐りにくい青森ひば等を、使用しています。
特に腐りやすいのはお風呂廻りですので、タイル貼りの場合には、ビルの屋上と同じような防水を施してから、仕上げをしています。
外壁にサイディングをあまり使わないのは、コーキングが切れて雨水が浸入する可能性があるというのも理由の一つです。
外壁の左官も同じように、クラックから浸水する可能性があるので、慎重に検討する必要があります。
ローコストだからといって、安かろう悪かろうではいけません。

それと、建物の寿命に一番影響があるのは、その建物がみんなに愛されているかどうか、かも知れません。

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Q26. なるほどね。 
   愛されている建物は、何としてでも残したいですものね。
   話しは変わりますが、建築を設計する時、特に大事にしている事はなんですか?


A26.
建築は、実際に人が長い間住んだり使ったりする物です。
一度建ったら、簡単に壊したりする事は出来ません。
ですから、一ヶ所でもおかしな所があってはならないと思っています。

おかしな所というのは、二種類に分けて考えると、分かりやすいと思います。
一つは、当り前の事ですが、建築として求められる基本的な性能が、十分満たされているかどうかですね。
例えば、雨が漏ったり、雪で壊れたりするようなら困ったものです。
そうならないように、絶えず目を光らせる必要があります。

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Q27. それは大事ですね。もう一つは何ですか?

A27.
もう一つはですね、悪い所をなくする、と言う事です。
これも大きく分けて、二種類あります。
解りやすい例で言えば、使いにくい部屋、心地よくない空間をなくすると言う事とですね。
昼間から照明を付けなければいけないようなリビングは、生活するのが嫌になりますよね。
玄関のすぐ脇にあるトイレは、お客さんが来た時に困りますよね。
基本的に、空間は機能的でないと、どうしようもないと思います。
所が、この当たり前の事が守られていない建物が非常に多い。
困った物です。

もう一つは、見せたくない物は隠すと言う事、など等です。
人目に付く所に、オイルタンクやエアコンの室外機があったら、興ざめですよね。
画竜点「睛」ならいいのですが、画竜点「雨」になったら、話しになりません。
ただ、見せたくない物を何かで隠す事で、解決できればいいのですが、多くの場合はどうでしょうか。
頭隠して尻隠さずであったり、「デザイン」する事で隠したい物がさらに強調され、邪魔な存在になってしまっている等等、困った現象があちこちで見られます。
エアコンは、中機も外機も、本来目隠し等で囲えば、その分性能が落ちる事がありますので、目隠しをしない方が良いんですよ。
そうなれば、特に置き場所には、細心の注意が必要になりますね。
隠したい物の丁度良い置き場所を、早い段階でしっかり考えるという事が大事になってきます。
私の場合は、基本設計の段階から、そのことは十分意識して考えていますね。
そうすることで、建築としての違和感が、一つ一つ消えていくと思います。
確かな建築を創る。
その為に、当たり前の事を当たり前に実践し、一つ一つ丁寧に設計し監理する事を心掛けています。

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Q28. なるほどー。  地味ですけど大事ですね。

A28.
ただ、確かな建築と言うだけであったら簡単なのですが、それだけで良いはずがありません。
建築には、人々に感動を与えるような、何か心地よい=あずましい空間が必要だと思っています。
しかし、心地よい空間は、簡単には生まれません。
様々な角度から検討を繰り返し、思考することが必要です。
たとえば、その空間性・視覚性は勿論ですが、空間を満たす光、窓から見える風景、肌に感じる空気の動きや温もりに湿度、手や足に感じる肌触り、音や臭い、さらには皆さんが主役となって行われる様々な「コト」も、空間を構成する大事な要素と考えています。

確かな建築で、しかも心地よい空間。
片方だけであれば簡単なのですが、両方を追求しなければならないのが、建築の面白い所であり、奥の深い所です。
しかし、欲張りなことに、二兎を追って、二兎とも得ようとしているのですから、大変な難産になることも多いんですよ。
でも悩んだ分、出来上がった建築は、総合的により心地よい=あずましい物になっているような気がしています。
考えた量は、建物の質に現れてきます。
苦労をしても、施主に喜んで頂ければ、私たちにとって最大の喜びですね。
第一に、確かな建築を創ると言う事、第二に、心地よい空間を創ると言う事。
この二つのレベルを上げる事で、建築としての完成度がぐっと高くなると思います。

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Q29. そうですよね。
   私も、確かで心地よい=あずましい空間に住みたいですね。


A29.
折角、建物を建てるのですから、簡単に考えず、じっくり腰を落ち着けて考えたいですね。
建築は、皆さんの夢が何であるかを、把握することからスタートします。
「我が家は普通ですよ」などと言っている施主さんでも、よくよくお話を伺うと、皆さんとても個性的ですね。
空間に対する自分なりの夢も、実は、ちゃんと持っています。
建築の設計は、施主の「個性探し」や「夢探し」でもあるんです。
その個性や夢を主張するのを諦めず、自分たちにとって何が本当に大事なのか、何が大事でないのか、私達と一緒に考えて行ければいいなと思っています。
ある意味、大事でない物を見極め、「諦める」事の方が、施主や建築にとって大切な事じゃないだろうか、とも思っています。
そのような、作業の中から選ばれた夢は本当の夢ですから、十分に大事にしたいですね。
でも多くの人は、その夢すらも最初から諦めていることがあるかもしれませんが、その夢を諦めないで下さい。
チョットした工夫で、夢が実現出来るかも知れません。
チャレンジしましょう。

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Q30. 夢は大事にしたいですね。

A30.
どうせ無理だろうと遠慮していた施主が、建物が形になってから諦めきれずに、「実はこんな事がしたかった・・・」と言われた事もあります。
まだ間に合えばいいのですが、時既に遅く諦めなければいけないような場合は、本当に辛いですね。

私達は施主の個性を探し、夢を大きく膨らませ、世界で唯一の空間に具体化していくことが、建築であると考えています。
あくまでも主役は施主の夢であって、建築は、その夢を支える静かな背景であって欲しいと思っています。
そして、皆さんの夢が詰まった建築を、少しでも心地よい=あずましい空間にしたいと願っています。
建築とは楽しいものです。
その楽しさは、電子レンジでチンするような作業からは、決して生まれません。
私達は、施主と一緒にじっくりと夢を追いかけ、建築を考え、そして一緒に楽しみたいと思います。

電子レンジついでに、先日、タレントの所ジョージさんの対談記事を、読む機会がありました。
「電子レンジは便利だけど、枯れ葉をたくさん集めて、焚き火をして、その中にサツマイモを入れた方が、たとえ芯が固くても僕はその方がおいしいと思うんですよね。・・・・・電子レンジは簡単だけど、誰がやっても同じ・・・」
所さんは、面倒な方が楽しいと、いつも考えている様な方なんでしょうね。
だからいつも、楽しそうなんだと思います。
そのような、面倒を楽しむ心の余裕を、見習いたいですね。

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Q31. さすがは所さんですね。
   話しは変わって、例えば平面を考える時は、どんな事を考えていますか?



A31.
平面を考える前に、敷地や、敷地周辺の地域のことを考えますね。
気候や風土、それに風景や景観などなど色々な所に目を光らせ、土地の持つ固有の個性や魅力を見つけ、建築のヒントになるようなものを探します。
その作業と平行して、配置をじっくり考えますね。
人間と同じで、全ての敷地に、個性があります。
心地よい所と、そうではない所が、必ずあります。
敷地内やその周辺に、既にある物を出来るだけ大事にし、活用するようにしています。
それを見つけ出し、どうしたらその敷地に建物が馴染むか、最適な配置と平面は何かを考えます。
例えば、リビングの窓を開けたら、隣の家がすぐそばに建っていたら、誰だって嫌ですよね。
でも、窓を開けたら、雄大な景色が見えたら、得した気分になりませんか?
そこまでいかなくても、隣の空き地の木々が見えたり、そこから太陽の光が差し込んだりしたり、探せば良い事が色々見つかるんですよ。
極端に言えば、敷地の個性と施主の個性を見つければ、建物の基本設計は半分以上終わったような物です。

それから、外構も同時に考えるようにしています。

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Q32 平面の前に、色々考えることがあるんですね。

A32.
その地域、その敷地の気候風土や風景など、考える事は多々あります。
ハンバーガーなら、日本中どこに行っても、同じ味で構わないかもしれません。
しかし建築の場合は、大手ハウスメーカーのように、日本中どこでも同じような形、同じような仕様の建物を、無理矢理敷地にはめ込むと言うのは、どうかと思いますね。

それから、建築を考えるのは、このように、近隣の事と言うか、ローカルなことだけではありません。
同時に、グローバルにも目を向けるようにしています。
世界や日本の建築の流れ、それに、世の中の動きなどにも注目するようにしています。
こてから建てようとしている建築の向かっている先が、方向音痴だったら困りますものね。
でも、一見すると方向音痴と思えるような方位が、実は、これからの新しい方向性を暗示しているかもしれません。
それを見極める、確かな方向感覚は大事ですね。
ローカルとグローバルを同時に見る、複眼的な思考法が建築家として大事な態度だと思います。

施主から、「実は、ハウスメーカー(工務店)にも計画をお願いしていたんです。」と言われ、図面を見せられた事が何度かあります。
それを見てビックリしたのは、平面図だけで、配置図が無い事が非常に多いですね。
ひどい時は、その平面を敷地に落してみたら、敷地からはみ出していました。
他の事例では、敷地には一応入っているのですが、隣地境界からの離れが狭くて、法規的に成立していない事もありました。
全くもって、あきれた話で、同じ建築をやる人間として腹が立ちますし、恥ずかしい事です。
でも、配置図がいかに大事か、お分かりになったのではないでしょうか。

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Q33 それは、あんまりですね。 配置は、大事なんですね。

A33.
配置は建物の基本ですから、本当に大事ですよ。
例えば、建築雑誌で、ユニークでしかも心地よい建築を、見つける事があると思います。
その多くは、敷地が非常に個性的であったり、どうしようもないくらい悪条件だったりします。
しかし、我々は、敷地の制約が多すぎるから、この程度の建築になりました等と、言い訳は出来ません。
どれだけ制約が大きくても、心地よい建築を考えなければなりません。
反対に言えば、制約があった方が、どこにもない、それでいて心地よい建築になる可能性が、有るのかもしれません。
勿論、制約の多い敷地に、ハウスメーカーの標準プランをはめ込もうとしても無理があるし、たとえ入ったとしても、無駄な所や嫌な所が必ず出てくるはずです。
敷地がいびつだったり、狭かったりしても、決して諦めないで下さい。
敷地が個性的なら、建物も個性的になります。
是非、我々に相談してみて下さい。

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Q34 そうですね。 諦めないようにします。
   話しを戻して、それじゃあ、配置を考えてから平面を考えるんですか?


A34.
実際には、平面と配置は平行して考えます。
平面の中で、無駄な所を無くするのは勿論ですが、どこか楽しく心地よい空間が出来ないだろうかと、絶えず模索しています。
それから、平面を考えながら立面や断面や仕上げや構造など、様々な事を同時進行で考えています。

住宅を例にして、分かりやすいお話しをしましょうか。
例えば、廊下を無くして、家全体が一つの空間であるように考える事が多いですね。
部屋がそれぞれ廊下や壁で仕切られていたら、1+1は2にしかなりません。
ですが、チョットした工夫で、部屋と部屋を直接つなげることが出来れば、1+1は3にも4にもなります。
これに外部空間も足すと、1+1は無限大に膨らんでいきます。
廊下の分、部屋が広く感じられるし、部屋同士が一体になりますから、空間も格段に広がりを感じますね。
空間がある時は狭いままで、ある時は広く使えるようになれば、多様な空間の使い方が可能になり、楽しそうですね。
壁や建具も少なくなりますから、コストダウンにもなります。

反対の場合を考えてみれば、イメージし易いかもしれません。
細切れの部屋が廊下でつながっていて、しかも面積的にも小さな住宅であったらどうでしょう。
狭苦しくて、使いにくくて、しかもあまり楽しくない住宅になりそうだと思いませんか?

それから、部屋を区切りたい時は、引戸で緩く仕切れば便利ですね。
引戸は、開き戸と違って、開いている時も閉じている時も邪魔にならないので、違和感をあまり感じません。
それに、ドアがあんまり多いと、開け閉めするのが煩わしくなりませんか?


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Q35. ワンルームだと、開放感があって楽しそうですね。

A35.
ワンルームは楽しいですよ。
しかし、どうでも部屋と部屋をくっつけて良い、という訳ではありません。
なんの配慮もしないで、居間から丸見えの所にトイレがあったら、誰でも嫌ですよね。
しかも、昔の作り方のままなら、冬は寒くてどうしようもありません。
1+1が0になってしまいます。
そんな事にならないように、基本的な性能を十分確保した上で、しかも心地よく楽しい空間になるように、頭を柔軟にして色々な事を考えています。
我々の設計した建物では、ホームパーティを何度もやっている例が、沢山あります。
人が集まるのは、1+1が3にも4にもなっている効果ではないでしょうか。
それから、住宅であれば家族の距離感が、非常に大事だなと思っています。

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Q36. 距離感・・ですか?

A36.
そうです。
家族同士の距離感が、非常に近い場合もあれば、みんな「大人」で、ほとんど顔を合わせないような家族も、いると思います。
普段はバラバラなのに、家族としての一体感が非常に強い場合もあります。
色々ですね。
二世帯住宅の場合、スープの冷めない距離などと表現されているように、世代間の距離が話題になりますね。
一世帯の場合でも、もっと距離感というものを考えて良いと思いますよ。
玄関を入ったら目の前に階段があって、2階の子供部屋に直結しているような家の場合、その家族はどうなるでしょうか?
子供が家に帰っても、家族は全く気がつかない。
部屋に籠もったら中で何をやっているのか、お互いさっぱり分からず、食事の時だけ顔を合わせるような、そんな生活になりそうじゃありませんか?
そのうち、食事もそれぞれ勝手に摂るように、なるかも知れませんね。
それより、いつもお互いの気配が感じられるような空間の方が、家族同士のコミュニケーションも活発になり、楽しそうじゃありませんか。
風通しのよい家は、コミュニケーションの風通しも良いんですよ。

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Q37. なるほど。 そう考えると、色々面白くなりますね。

A37.
余談ですが、子供部屋でいつも勉強する子よりも、家族のいる居間や食堂で勉強する子の方が、学校の成績が良いというデーターがあるそうですね。
今現在、家族同士の距離感が遠くても、折角住まいを建てるのですから、これを機会に距離感がグッと近づけられたらいいなと思っています。
でも、全ての空間が、近い距離感になっている必要はありません。
書斎のように、一人の時間を大切にするような空間があってもいいですね。
その部屋から出た時に、グッと家族の距離感が近くなっていれば、それでいいと思いますよ。

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Q38. 子供の成績が延びると聞けば、嬉しくなります。

A38.
距離感について、もう一つ別の角度から見てみましょうか。
最近多いのは、夫婦別寝ですね。
たとえ夫婦でも、ベッドをくっつけて寝るのはチョット・・・、と言うパターンは増えているらしいんですよ。
お互いに寝る時間がずれているとか、イビキや赤ちゃんの夜泣きで困っているとか、寝る前に本を読む習慣があるとか、色々な理由からそうなっているらしいですね。
この場合も、寝室を二つのコーナーに分けて、建具で仕切ったり、間に両方から使えるクローゼットを挟んだりとか、アイデア次第で様々な事が考えられます。
勿論、まるっきり別室にする事も考えられます。
最も、その場合は、夫婦別「室」と言うらしいですけどね。
つまり、距離感を詰めればいいと言う単純な話しではなく、色々な距離感が考えられると言う事です。
皆さんの、家族の距離感はどうですか?
距離感をもうチョット意識して、建築を考えてみませんか?

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Q39. 住宅の問題は、家族の問題ですね。

A39.
まさにそうですね。
建築は、色々な問題と密接に連動しています。
単に形を作ればいいと言う、わけじゃありません。
ましてや、いくつかある平面から、どれか一つを選べばいいというような、そんな単純な話でもないはずです。
住宅であれば、施主の趣味や嗜好も、空間に大きな影響を与えます。
医療施設であれば、そこで行われている医療行為や療養行為を知ることで、もっと心地よい空間を提案することが出来ます。
事務所であれば、その事業内容や組織形態、それにCI(コーポレートアイデンティティ)にまで踏み込んでくことで、新たな展開が見えてきます。
物販施設であれば、建物が目について印象に残らなければなりませんし、それが商品のイメージにつながる事が大事になると思います。
どうですか? 建築以前の事が、とっても大事なんですよ。

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Q04. 本当ですね。 建築って、とても幅が広いし、大事ですね。

A40
そうですね。
同じ施主・同じ敷地は一つもないのと同じように、同じ建物は一つもありません。
全てオリジナルです。
世界にたった一つの建築を、施主と一緒に創る作業は、とっても楽しいものです。
ハウスメーカーのように、カタログの中から平面や仕上げを選ぶという作業は、数字的にはもの凄い数の組合せがありますが、はたしてそれで良いのでしょうか。
私にはどうしても、電子レンジでチンするのと同じような作業に見えてしまうのですが。
食事なら、時にはチンしても構わないでしょう。
しかし、建築は、施主にとって一生を左右する、とっても大事な買物です。
もっとじっくり考え、もっともっと楽しんで良いのではないでしょうか。

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Q41. はい、分かりました。
   話しは変わりますが、アラハバキってなんですか?


A41. 
昔、北東北を中心に大きく栄えていたと言われる、国の名前です。
部族の名前や神の名前としても、使われていたようです。
その最後の姿が、十三港の安藤水軍だと言われていますが、詳しいことはよく分かっていません。
津軽も当研究所も、この国のように栄えて欲しいとの思いから、名前を拝借しました。
それから、研究所としたのは、建築の設計をするだけではなく、建築という物を絶えず研究し、レベルアップしたいとの思いがあるからです。

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Q42. ほう・・・。  先日3.11東日本大震災がありました。

A42. 
急に話が変わりましたね。
私自身、津波の心配がありそうな所に、建物を計画した事がないのでピンとこないのですが、あの津波の威力は桁違いですね。
津波に限らない事ですが、自然の前では、人間は小さい存在なんだと言う事が、改めて分かりました。
もし、海に近い建物を考える機会があったら、果たしてどのようにしたら良いのか、相当悩むでしょうね。
建築が、津波に対して無傷と言うのは、もはや考えられません。
たとえ、構造体をガッチリ造ったとしても、建具はひとたまりもありません。
何か、人間の命を守る別な方法を、もっと総合的な視点から、考えなければいけないと思います。
建てる場所であるとか、人工地盤の様な物を造ってその上に建物を建てるとか、或いは近隣の高台への避難方法を考えるとか、建物の一部でも高くして避難できるようにするとか、、、。
津波を想定して、想像力を多いに働かせる事だと思います。
それから、津波対策の何かを造るにしても、普段から有効活用できるようにしたいですね。
それがある事で、日常の生活にプラスになるとか、街の賑わいに寄与すると嬉しいですね。
そうでもしないと、結局は「それが街の賑わいを阻害しているから」と邪魔者扱いされたり、物置き状態になり、いざと言う時、使い物にならないと思います。

それと、「フクシマ」ですよね。

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Q43. そうなんですよ。
   これから、どうなるんでしょうね。


A43. 
どうやら、千年に一度、あのような規模の津波があったらしいと言う事が、分かってきました。
にもかかわらず、その事実には目を閉じ、対策を怠ってきた。
たった一度でも原発が被災したら、取り返しのつかない事になるのは明らかなのですから、一般の建物とは比較にならないような高いレベルで、対策を講じなければ行けないのは、当たり前の話です。
所が実際には、津波など考えられないアメリカ内陸部の原発を、そのままコピーして建てたらしいですから、馬鹿としか言いようがない。
あきれて、開いた口が塞がらない。

それから、これまで日本での電気の使い方は、一種の「バブル」だった様な気がしています。
某大都市の商業施設では、入口ドアを開けたままエアコンをかけているし、熱負荷がどう考えても大きい総ガラス張りの建物が多すぎます。
電力の供給が逼迫している時、スーパーなどで照明を半分程度に減らしている所が多かったのですが、それでも多すぎる気がしています。
それから、JIS規格や照明学会等で部屋の用途別に照度の基準を作っていますが、これがやたらに明るい。
照明器具を売りたいが為に、メーカーの圧力が、基準作りに影響を及ぼしているとしか思えない。

民間建築であれば、基準に関わらず、実際にどの位必要かで照明の量を判断します。
ところが役所の場合は、基準が一つの絶対的な根拠になりますから、その基準通りに造る事が多い。
この基準を、「適正」な内容に改正するだけで、エネルギー消費量は大きく変わる様な気がしています。

愚痴っぽくなりましたが、当方では当初から自然の光と風を大事にしてきましたし、エネルギーロスの少ない、高い断熱性と気密性とを兼ね備えた建物を、絶えず目指しています。
その方向性は間違えていませんので、今後さらに、その考えを発展させて行きたいですね。

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Q44. エネルギーと言えば、暖房は何が良いんでしょうね?

A44. 
しばらくの間は、厳しい電力事情が続くでしょうから、今後は何がベターなのか,しばらくは先が見えないと思います。
深夜電力の利用促進が、これまで盛んに言われてきました。
これは、原発が電力需要に合わせた出力の加減を調整するのが難しく、夜間でもフル稼働しなければ行けない事から、余った深夜電力をどんどん使って下さいと、言ってきた訳ですよね。
ですが、脱原発と言う事になると、果たして深夜電力と言うシステムそのものが存続するのか、あやしいですね。

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Q45. 本当に、先が読めないですよね。

A45.
原発問題は別にして、これまでも、ずっと悩んでいました。
明確に、これしかないと言えるような物はありませんので、建物の使い勝手や使う人の好みなどの条件に合わせ、これまで色々な方法を試して来ました。

熱源としては、灯油や電気、それにガスもあります。
方式としては、床暖房や、パネルヒーター・FF式ストーブ・ファンコイルユニット・蓄熱型電気暖房(いわゆるオール電化)などの一般的な暖房方式の他に、床下暖房もやってみました。
床下暖房とは、床下に熱源を置いて建物全体を暖める方式で、床下にFF式ストーブを置いたり、石油熱源の床下放熱器や蓄熱型電気暖房機も採用したことがあります。
適材適所で、それらを組み合わせることも多いです。
それぞれの方式に、長所と短所がありますから、その建物に合わせ、最適な暖房方式を選択した方が良いと思います。
そして、その能力を最大限に発揮出来るように工夫することで、快適な冬の生活を送ることが出来ると思います。

それと、深夜電力を利用した氷(冬はお湯)蓄熱方式のエアコンで、冷暖房したこともあります。
この方式も、ランニングコストが安いので、いいですね。
現在検討中のものは、エコキュートで暖房もしてみようかと考えています。
エコキュートとは、CO2を冷媒としたヒートポンプを深夜電力で稼働させ、給湯しようと言う物です。
普通のヒートポンプは代替フロンを冷媒にして行うのですが、これは冷房に効果的な方法ですね。
CO2を冷媒にした場合は、暖めるのに力を発揮する方法で、しかも代替フロンの3倍も効率がいいらしいですね。
ただ、給湯には威力を発揮しますが、暖房についてはまだまだ開発途上の方式なので、悩むところです。

それから、薪ストーブやペレットストーブもやった事があります。
家の中に火のある生活というのは、核となる物が出来ているような気がしますし、見ていていつまでも飽きません。
料理にも使えますし、ゴミとなる紙や、施工で余った木材も燃料になります。
火の面倒も見るのは確かに大変ですが、その大変さが楽しいですし、その大変さを楽しむ気持ちの余裕が欲しいですね。

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Q46. 色々やっているんですね。

A46.
青森県は寒冷地ですから、暖房については十分に検討しなければいけませんね。
勘違いしやすいのですが、暖房で暖かくすると言うよりも、建物の中の寒い所を無くする事が、快適に過ごすポイントだと思っています。
どんなに断熱性能の良い窓を使っても、窓は窓ですから、どうしても寒さを感じます。
その寒い所を集中的に暖かくする事で、建物全体を快適にする事が出来ます。
一番寒いのは、窓廻りです。
窓から下りてくる冷気をコールドドラフトといいますが、それを打ち消すように暖房器具を配置すれば最適です。
なおかつ、暖房器具が邪魔にならないようにレイアウトするのが、いつも悩む所ですね。

それから、もう一つ勘違いしやすい事があります。
○○の暖房は暖かいという話をよく聞きますが、それは暖房と言うより、建物そのものが暖かい、つまり断熱性がよいと思って頂いた方がよいかと思います。
そうでなければ、暖房が過剰な場合ですね。

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Q47. 成る程。 分かる気がします。
   建物の断熱性能は大事ですよね?


A47. 
リフォームしてみると解るのですが、ほんの数年前の建物であっても、壁をはがすと隙間だらけの断熱施工である事がよくありますね。
そういう所はやはり、壁の中でカビが生えていたりします。
怖いですよ。

次世代型省エネルギー基準という、現在最高レベルの省エネ基準がありますが、当事務所では基本的にそれ以上のレベルで、断熱材の厚さ(基準の1.3~1.5倍)や気密性・開口部の仕様などを決めています。
ちなみに次世代省エネルギー基準は、品確法の等級4(最高レベル)に該当します。
それから、木造・鉄骨構造であれば、断熱材としては発泡プラスチック系断熱材を、工法としては外断熱にする事が多いですネ。

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Q48. 外断熱ですか?

A48. 
繊維系の断熱材は、つぶせばその分、断熱性能が落ちてしまいます。
大工さんが、断熱材を施工している時は、割とキチンとした状態の事が多いですね。
しかし、その後に施工される電気の配線や設備の配管等の時に、断熱材を潰したり寄せたりで、グチャグチャにしてしまう事があるので、欠陥が出やすい工法だと思います。
ところが、発泡プラスチック系断熱材は、つぶそうと思ってもつぶせないので、そのような心配がありません。
それから、内断熱は木材と木材の間に断熱材を充填して行くのですが、施工の精度が悪ければ、木材と断熱材の間が全て断熱や結露の欠陥になりかねません。
施工の精度がしっかりしていても、木材は経年的に乾燥収縮しますから、結局は隙間が空いてしまいます。
分かりにくいかもしれませんが、柱や梁や間柱それに筋交い等の両脇が、全て欠陥になりうると言う事です。
しかし、外断熱であれば、そのようなリスクは格段に減りますね。

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Q49. 外断熱は良い所だらけじゃないですか。

A49. 
正直な所、発砲プラスチック系断熱材であっても、施工精度が悪ければやはり隙間になります。
しかし、我々は、断熱材を何かで覆う前に、必ずチェックします。
隙間があれば、ウレタン吹付け等で充填するようにしています。
それから、断熱材のジョイント部分は必ず柱や間柱がありますので、もし仮に断熱材に隙間があっても、木材がカバーしてくれます。

外断熱のメリットがもう一つありますね。
気密性能の確保も、簡単に出来ます。
壁から伝わって出て行く熱は、断熱材でカバーできます。
しかし、細かな隙間から、すきま風となって空気と一緒に逃げて行く熱も、馬鹿に出来ません。
気密性を上げて、隙間風を無くする事でぐっと快適性は上がります。

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Q50. やはり外断熱は、色々メリットがあるんですね。

A50.
そうですね。 壁の中は基本的にカラッポになりますから、内壁を貼らず構造を完全に現す事も出来ます。
例えば、自由ヶ丘の家 大清水のアトリエ 光城の家 等です。 
その他、千年の家などでは、部分的に壁構造を現しにしています。
HPを覗いてみてください。

余談ですが、うれしい話を耳にしました。
住宅を建てると、役所から担当者が調査に来て、固定資産税評価額をという物を決めます。
評価額は、建物の面積や仕上等に左右されるらしいのですが、壁や天井を構造現しとした場合は、その部分の内装仕上げはありません。
そうすると、不動産としての評価額が、低く判定されるらしいですね。
つまりは、税金が安くなるという事です。
どのくらい安くなるか解りませんが、お得ですよね。

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Q51. 壁の作り方も、色々あるんですね。

A51. 
そうですね、基本的な柱の大きさは105mm角ですが、この105mmの奥行きを大事にしたいですね。
構造現しにすれば、その105mmをそのまま空間として利用できます。
そこまでやらなくても、壁の空洞部分を収納として利用したり、間柱の奥行きを薄くする事で部分的に部屋を広げたりする事も出来ます。

トイレなどは、同じ半間巾でも、随分広くなったように感じられます。
柱心が半間巾の部屋を、普通に造れば有効内法巾は780mmになります。
しかし、間柱を45mmにして外側に寄せれば、有効内法巾は900mmになります。
120mmも広くなるんですよ。
納まりや構造に問題のない所の壁を薄くする事で、随分空間がゆったりと感じられるようになります。

それから、外断熱であればその分壁が厚くなるので、必然的に窓の奥行きも深くなります。
外から見ればフラットでも、内側から見れば出窓のように、彫りの深い表情になります。
出窓であれば、何かを置いて飾り付けをする等、色々な活用法が浮かんできますよね。
ロールブラインドなども、壁の厚みの中で納まってしまうので、邪魔にならないし、非常にスッキリした感じになります。
勿論、外壁だけではなく、間仕切り壁も同じように、壁の厚みというものを利用出来ます。
アイデア次第ですね。

世の中には様々な断熱材・様々な施工方法があります。
どのような方法であっても、精度よくキチンと施工すれば、一定レベルの断熱性能が出て、快適な内部環境を確保できます。
反対に、いい加減にやると寒いし、結露を起こして大変なことになります。
勿論、我々も監理者として施工がキチンと行われているかを、確認していますので安心して下さい。
それから、構造やデザインによっても、考え方は左右されます。
いずれにしても、それぞれの方法に長所と短所がありますから、それらを十分理解した上でやり方を選択した方が良いと思います。

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Q52. 断熱だけでも、色々考えなければ行けない所があるんですね。
   建具はどう考えています?


A52.
断熱と言う事で考えると、どんどん性能の良い建具が出てきていますよね。
次世代型省エネ基準で推奨されている物の中から、どの種類の建具を選択するか、考える必要があると思います。
基本的に、耐候性のあるアルミと、断熱性のある樹脂の複合されたサッシを使用しています。
ガラスは、Low-eという熱線を反射させる金属膜を溶着した、特殊なペアガラスで考えています。
これは、金属膜が熱線を反射させる事で、一般もペアガラスより、高い断熱性能を発揮してくれます。

ただ、いくら断熱性能の良い建具を使用しても、建具はやっぱり建具です。
考えてみて下さい。
ペアガラスと言っても、ガラスは、たったの2層しかありません。
つまり、断熱材も入っていない外壁と、同じ程度なんですよ。
性能の良い建具だから大丈夫だと勘違いして、建具を沢山付けたら、昔の断熱材の入っていない建物と同じになってしまいます。
気持ちよく大きくしたい所は大きくし、それ以外の所には、無駄な窓は設けず、設けたとしても無駄に大きくしない事です。
しかし、窓は中と外をつなぐ大事な要素です。
通風や採光はどこでも欲しいですし、眺めのよいロケーションの場合は、どうしても大きな建具が欲しくなります。
その見極めは、しっかり判断しなければなりません。
難しい所です。

但、我々は、大きな窓と断熱性の両方を求めて、様々な工夫をしています。
例えば、気持ちよく、大きな嵌殺し窓を設ける事があります。
その時は、特殊構造のサーモスクリーンを使用しています。
これは、ロールスクリーンと同じような使い方なのですが、ハーモニカのような構造になっているので、三層構造になっているので断熱性は高いです。
しかも、左右にガイドレールがついているので、両脇に隙間が出来ない優れものです。

それから、大きな採光窓が欲しい時は、最大で6層ある、ポリカーボネートの複層板(ハーモニカをもっと複雑にしたような形状)を使ったりします。
この要な工夫をすれば、冬の居住性は、大きく改善されますね。

それから、玄関を風除室のように考え二重建具とし、そこから中に入れば、熱的にはワンルームのような空間にする事が多いのですが、その場合、玄関と室内の間が重要になりますね。
玄関は基本的に寒い空間と考え、玄関と室内の壁を断熱したり、建具の断熱性能や気密性能を上げるようにしています。
そのような様々な配慮をすることで、内部は熱的にきわめて快適な環境になります。

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Q53. 奥が深いですね。
   ただ暖かくすると言っても、色々あるんですね。


A53.
そうですね。分かりやすい例を紹介しましょうか。
例えば、自動車の中の温度を、25℃に設定したとしますよね。
同じ25℃でも、冬であればオーバーを着ているのに、夏であれば半袖のまま、なんてことありませんか?
同じ室温でも、壁や窓が冷たいかどうかで、これだけ違うんですよ。
それに、暖房する時は足元から温風を出した方が、気持ちよくないですか。
冷房であれば、反対ですね。
まさに頭寒足熱です。

断熱性能が高いと、無駄に室温を高くする必要がなくなるし、場所毎の温度差も減ります。
つまり、少ないエネルギーで建物全体を暖房する事が、可能になります。
そうすると、寒い部屋はなくなりますので、部屋毎に空間を仕切る必要がありません。
廊下やトイレ、それにお風呂もいつだって温かいんです。
つまり、建築をもっと大きく、自由に考える事が出来るんですよ。
技術の裏付けがあって初めて、空間をデザインする事が出来るのです。
どうですか? そう考えると可能性はどんどん広がって、楽しくなりそうですよね。

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Q54. 本当ですね。 そう考えると建築の可能性が広がって、楽しくなりますよね。 

A54.
空間を仕切らないと、他にもメリットがあるんですよ。
建物全体を大きくとらえて、空気が自然に循環するようにしておくと、湿気や臭いが、どこかに籠もると言う事も無くなります。
光りだって同じです。

ある人は、「子供を一人だけ仲間はずれにすると、ぐれるでしょ? 空間も一ヶ所だけ仲間はずれにすると、ぐれるんですよ」と言っています。
面白い表現ですよね。

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Q55. 確かに面白い表現ですね。
   所で、ソーラーシステムはどう考えていますか?


A55.
うーん・・・。 狭い意味でのソーラーシステムは、積雪地では難しいですね。
ソーラーシステムは、大きく分けると3種類あります。
一つは、ソーラー発電です。
一つは、屋根(壁の場合もありますが)に、太陽熱利用の給湯器を置くタイプです。
もう一つは、屋根面で暖められた空気を、暖房に利用するタイプですね。
どれも、南向きの屋根に当たる太陽熱を利用しているんですが、冬に雪が積もっていたら機能しません。
ですから、屋根を急勾配にし、雪を自然に落とす事になると思うのですが、殆どの場合は居間の目の前に雪の山が出来る事になります。
例えば、南側が水路になっていて、いくらでも雪を落とせるような場合ならば良いのですが、そのような条件の敷地は殆どありません。
でも、太陽の恵みである光や暖かさは、いつでも意識して計画しています。
太陽は一番の暖房だし、一番の照明だと思っています。

それから、ソーラーで造られた電気が余った場合、売電と言って電力会社に売るシステムがあります。
これからは、脱原発に大きく舵を切らざるを得ません。
ソーラーシステムにも、当然注目が集まります。
需要が増えれば、製品価格は下がり、政策として売電価格が上がるでしょうから、状況は大きく変わるでしょうね。
早く、その状況になる事を期待したいですね。

フクシマの前の段階で、既に補助金は出ていますし、少しは売電価格も高くなりました。
48円/1KWですから、一般の電気の使用料金の倍くらいの料金で買ってくれるらしいですね。
計算上は、7年で元が取れるらしいと言う事と、メーカーが10年間の製品の保証をしてくれるとの事です。
これからさらに、劇的に変わるかもしれませんね。

それから、もう一つ。
太陽光発電は、あまり暖かくない地域の方が、発電量が多いらしいですよ。
雪が降らなくて寒い地域は、最高なんだそうです。
意外ですよね。

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Q56. なるほどね。考えてみたいですね。
   ところで、外壁にカラー鉄板を使っていることが多いみたいですね? 


A56. 
外壁は、屋根と同じ位、雨や雪に痛めつけられているんですよ。
よく「屋根が漏った」という話を聞きますが、強い風で壁に叩き付けられた雨が漏っていた、と言う事例が多いんです。
つまり、屋根からではなく、壁から雨漏りがしているんですね。
だから、壁にも屋根と同じ程度の性能を持たせたいので、いわゆるガルバリウム鋼板という非常に錆びに強い鉄板をよく使っています。
これは、アルミと亜鉛を合金した鉄板です。
それから、前のQ&Aとも関連するのですが、外断熱に適した素材であるという事と、当事務所のデザイン上の好みもありますネ。
でも、木や左官・吹付・サイディング・タイル・コンクリート打放し等々、色々やっています。
勿論、施主の好みがあればそれに合わせて考えますので、何でもお話しして下さい。

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Q57. 他に素材を考える時に、特に気を付けている事はありますか? 

A57.
極端な言い方をすると、床や壁や天井は、建物の本質ではなく、それによって囲まれた空間が本質だと思っています。
ですから、イメージしている空間に合う素材を、選択するようにしています。
それから、基本的に安くても、しっかりした物を使うようにしています。
もう一つは、嘘をついていない、ホンモノの材料を選択するようにしています。
石ではないのに石のようなサイディングとか、木じゃないのに木のようなクロスなどは使いませんね。
「古びる」という言葉がありますが、本来は「古美る」と書くみたいですね。
ホンモノであれば、時間の経過と共に味が出て美しくなりますが、ニセモノにはそれが期待出来ません。
せっかく建てた建築が、時間とともに薄汚れ、みすぼらしくなれば嫌ですよね。
それよりも、年々落ち着いて風景になじみ、風格が出て来た方が良いと思いませんか。

それから、構造材をそのまま仕上にしたいと、心のどこかでいつも思っています。
何しろ構造材は一番しっかりしていて、しかも安いですからね。

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Q58. 本物は、確かに良いですよね。 

A58.
分かりやすい例で、説明しましょうか。
以前、国宝の茶室を見たことがあります。
それは、長い歴史と共に古び、いわゆる「きれい」な建物とは言えなかったと思います。
でも、実に味わい深く「美しい」建築でした。
空間のプロポーションや、光の入れ方など様々な要因があるのはもちろんの事だと思いますが、使われている素材が全て、「ホンモノ」であるということも大きいと思います。
何と言っても「ホンモノ」は、年月とともに味が出てきますね。
高価ではない、しかも普通にその辺にありそうな物を、さりげなく、しかも細心の注意を払って、うまく使っています。
皆さんも、同じような経験をしたことが、あるのではないでしょうか。

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Q59. 確かにそうですね。 「きれい」と「美しい」は違います。
   それに騙されないように、気を付けなければいけませんね。 


A59.
そうですね。まずは適材適所ですよ。
この姿形には、どのような素材が適しているのだろうか、或は、意外な所に、意外な材料を使ってみたいと、いつも悩んでいます。

それから、素材の組合せや納まりをどのようにするのかも、非常に大事なことです。
例えば建材として優れた素材の一つに石がありますが、石の貼り方によっては安っぽく見えたり、高そうに見えたりします。
高価な物が高く見えたり、安物が安く見えたりするのなら、まだましです。
しかし、高い物が、安く見えるのでは話しになりません。
安いは良いのですが、安っぽいのは許せませんね。
当たり前の話しですが、同じ素材を使うのであれば、安い物を高く見せた方が良いし、高い物でもさらに高く見せた方が良いですよね。
その為には、詳細に渡る様々な工夫や配慮が、必要になってくるんです。

素材に限らない事ですが、施主の皆さんには建築を楽しむ心を持って頂けると、もっと楽しくなると思いますね。
全てを便利にするという事は、何か大事な物を忘れているような気がします。

ただ、あまり壁や天井が主張しすぎない方ように、気をつけています。
あくまでも、主役は人間やそこに置かれている物ですからね。
考えてみて下さい、美術館の壁が絵よりも派手だったら、可笑しいですよね。

我々は、壁に白い塗装を使用する事が、多いですね。
天井の木構造現しと塗装の白は、よく馴染みます。
それから、持ち込みの家具や備品などとも、調和する色ですね。
光が反射しますので、部屋も明るくなります。
しかも、場所によって、濃淡の異なる3色くらいの白を、使い分けているんですよ。
微妙な濃淡なので、実際に見ても分かりにくいかもしれませんが、空間演出のこだわりですね。
それから、艶の程度も使い勝手や、空間の演出の合わせ使い分けているんですよ。
艶のある方が汚れはつきにくいので、どうしても手がつく玄関とか、意外に遠くまで水がはねてしまうトイレであるとかは、艶のある塗装にする事が多いですね。
どうですか、同じ白でも色々あるでしょ?

それから、時には壁や天井の一面だけ、慎重に考えたアクセント色を塗る事もあります。
空間にメリハリが生まれますね。

それから、シックハウスやアスベストなどの問題が起きないようにするのは、当たり前の事です。
ただ、まだまだ完璧とは言えませんが、最近はこのような問題を起こすような材料が流通しなくなりましたから、以前に比べれば随分安心できる様になりました。
しかし、わずかな量でも反応してしまう化学物質過敏症の方もいらっしゃいますので、特に入念な配慮が必要になります。

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Q60. 本当ですよね。
   では、構造はどう考えていますか? 


A60.
建築の構造は、基本的に木造・鉄骨構造・鉄筋コンクリート構造(RC造)などがあります。
木造は、日本人に最もなじみが深く、体にも優しい構造だと思います。
鉄骨構造は、軽快なシステムなので、大きな空間を造るのに適しています。
壁を造りたくない場合や、アクロバットな構造にも適しています。
RC造は、ガッチリした構造で、耐火性や遮音性に優れています。
それぞれに長所短所がありますので、総合的に判断して構造を決めています。
そして、その構造の特性(魅力)を、最大限引き出すようなデザインを追求します。
適材適所で、それらの長所を組み合わせる事も多いですね。

ちなみに、大清水のアトリエでは、大きく木造・鉄骨構造・鉄筋コンクリート構造の三種類が混在しています。
さらに同じ木造でも一般部分は在来木造工法ですが、屋根はツーバイフォー工法ですし、壁の一部は、材料は在来工法用で考え方はツーバイフォー構造になっています。
ですから、合計すると5種類の構造が混在する混構造の建物です。
別に、種類を増やしたくて増やしたのではありません。
こうしたいという空間のイメージがあって、それに最適の構造を追求したら、自然とこのような結果となっただけなんです。

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Q61. なるほどね。 それでは、構造設計も自分の所でやっているんですか。 

A61.
鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造は、構造の専門家に依頼していますが、一般的な木造であれば、自分達で構造計算し、構造図も作成しています。
興味のある方は、構造計算書としてお出しする事も可能です。
地震や積雪、それに風などに十分耐えるようにする事と、歩行時の床の撓みで不快感を感じないようにする事など、様々な角度から検討しています。

構造で一番大事なのは、計画した空間に合う、最も合理的な構造システムにする事ですね。
上や横からの力が、スムーズに基礎等の構造体に伝わる様にする必要があります。
良い平面は、構造システムも合理的で、しかも無駄のない、経済的な設計になっていると思います。
反対に合理的でない構造システムの場合でも、無理矢理構造計算をして設計する事は可能ではありますが、柱や梁がアンバランスな位、大きな物となってしまいます。

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Q62. 柱や梁が大きくなれば、コストにも跳ね返ってくるんでしょうね。 

A62.
勿論そうですね。
そうならないように、平面の段階から、構造を意識して計画する必要がありますね。

その他のポイントとして、基礎や柱・梁・壁などの構造をバランス良く配置する事と、法律というマニュアルで決められた数字を、あまり過信しない事ですね。
例えば、建築基準法では、最低限必要な壁量を決めていますが、多雪地である青森県の場合には、充分とは言えません。
先日計算した事例では、法律の1.8倍必要でした。
このように、私共は法律を上回る検討(計算)をしています。
しかし、計算に頼るだけでは不十分で、最終的には地震や風や雪等によって、建物がどのように変形するかを、どれだけイメージ出来るかという想像力が、非常に大事だと思います。
例えば、風下側で雪庇の出来そうな所は、雪荷重を増やして計算していますね。
経済設計は勿論大事ですが、このような所は大事にしたいですね。

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Q63. 法律の1.8倍とはビックリですね。
   ところで、壁量ってなんですか? 


A63.
地震や風など横からの力は、構造壁で受け止めます。
壁量とは、建物の床面積当りどの位の構造壁が必要かという規準で、よく筋交という斜めの部材で補強する事で、構造壁にしていますね。
例えば、壁に太い筋交を入れれば、構造壁はそんなに必要ありませんが、反対に細い筋交であれば、沢山必要になります。
私共では、筋交の代わりに外壁全面に構造用合板を貼って、全体を頑丈な箱のようにしています。
これだと、窓の上や下の壁は、計算上の構造壁にはなりませんが、余力として大いに働きます。
それに、柱や梁が構造用合板で一体化するので、地震時に歪んだりバラバラになるのが防止されます。
同時に、建物の気密性も向上します。
それでも不足する所や、さらに補強したい所に、筋交を入れるようにしています。
このような事をしっかり確認する事で、はじめて、丈夫で心地よい建築が出来上がります。

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Q64. 構造はやはり大事ですよね。
    地震で壊れたら大変ですからね。 


A64. 
そうですよね。
阪神淡路大震災で、多くの被害がありました。
住まいは夏をむねとすべしで、南側にほとんど壁のない建物、つまり壁の配置が北に偏っている建物が多かったからですね。
つまり、構造のバランスが、悪かったのだと思います。
そうなっては困りますから、壁が偏らないように検討する必要があります。

勿論、壊れた原因は、それだけではないです。
シロアリや雨漏りなどで、土台がボロボロになっている建物が、非常に多かったみたいです。
これなら、地震に対して脆いのも当たり前です。
それに、構造的にずさんな施工も、多かったみたいですよ。
写真で見たら、建築の常識では考えられないような事例(手抜き)が、沢山ありました。
それともう一つ、家具の問題が大きいですね。

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Q65. 家具ですか? 

A65. 
転倒してきた家具の下敷きになった方が、沢山見受けられました。
ですから、家具の転倒防止用の商品が、色々売られていますよね。
勿論それも大事ですが、家具をキチンと納戸にしまい込むとか、表に出てくる家具は、造り付けを中心に考えるとか、別な方法を考えた方がいいと思います。

その為にも、我々は、現在お持ちの家具を全部実測し、それを図面に書き込みます。
家具の置き場所を考えながら、平面を再検討します。
こうすれば地震が来ても安心だし、普段いるお部屋もスッキリします。
キチンと部屋の中に置いて使いたい家具があれば、最初からその置き場所や使い勝手を吟味します。
それに、古くて捨てようかと迷っている家具も、納戸に置けば気になりませんし、便利です。

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Q66. そこまで考えると安心ですね。
   ところでこのところ、確認申請が大変な事になっているらしいですね。 


A66. 
そうなんですよ。
姉歯元1級建築士の影響ですね。
以前は、建築士を性善説で見ていましたが、今は性悪説ですからね。
建築確認という制度は、本来、設計者と審査機関は対等であると考えていたのですが、どうも変な方向に動いているようです。
書類は増えたし、審査も厳しくなりました。
以前は審査機関の判断で、「構造力学的に問題ないので、この位はいいだろう」と判断していました。
ところが現在は、「法的根拠がないから認められません」となってきました。
つまり、建築的・構造的に、問題がないと明らかに分かる場合であっても、判断する事を放棄しているようです。
法律に明記されていない場合には、自信がないのか、頭が固いのか、責任を取りたくないのか分かりませんが。
地震や風は法律的に動く訳ではなく、まさに自然に動く訳ですが、その動きに一番近いのは法律ではなく構造力学だと思います。
しかも、法律の想定外の状況は、多々あり得ますから、法律を杓子定規に解釈するのではなく、法が本来持っている精神に基づいて判断するのが、審査機関の本来の役割であるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
自然の摂理を解析するのに、微分や積分の方法があるのに、加減乗除以外はダメだと言っているような物です。

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Q67. そんな状況は、どう考えても不自然ですね。 

A67.
それと、相変わらず重箱の隅を突っつくような審査が多くて、書類の訂正は毎回沢山あります。
しかし、建物の内容は、一切変わっていない場合が、ほとんどですね。
もっと大事な所を審査しないと、一体何をやっているんだ?と言う事になりますよね。

もう一つ、施工の段階でもっと良くなる方法を発見して、設計変更を検討する事がよくあります。
しかし、内容によっては、工事をストップして確認申請出し直しとなるような場合も、あります。
そこまで行かなくても、書類を一杯提出し、審査機関の了解を頂く必要が出ます。
確かに、悪い事をしてでも利益を出そうという人に対しては、多少の抑止力にはなるかも知れません。
しかし、建築をもっと良くしようと考えるのは、施主や建築家・施工者として当然の事ですし、人間として当たり前の事だと思っています。
検討を繰り返し工夫を重ねて折角いい方法を発見しても、それを採用出来ない(しづらい)と言う状況は、明らかに変ですね。
建築家としての良心を維持するのに極めて大きな困難を伴いますし、そのような制度は問題だと言わざるをえません。
もし仮に、審査機関の求める通りに設計して、その結果問題が生じた場合、審査機関は責任をとって頂けるのでしょうか。
いずれにしても、時間的ロスと精神的負担が格段に増えた事は、確かだと思います。

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Q68. 大変ですね。 

A68.
建築基準法だけではなく、これから建築士法等も大きく変わります。
こんな雑事に煩わされないで、建築家本来の仕事に力を注ぎたいですね。

建築に限らない事ですが、霞ヶ関は、今回のような社会的な事件があると必ず規制を強め、「業界」を締め付ける習性があります。
やはり、国民やマスコミも一斉に規制強化を求めるでしょうし、いつもは規制緩和を言う評論家も、この時ばかりは規制強化を叫びます。
四面楚歌のこんな状態では、「業界」もその声に抵抗出来ないと思います。
霞ヶ関は、絶えず規制強化の「チャンス」を、虎視眈々と狙っているのではないでしょうか。
勿論、規制を強化すれば、規制をクリアするための「書類」が必要になり、その「書類」に関わる多くの○×協会等々、所謂天下り団体が、雨後のタケノコのように数多く出来るのは明らかです。
そして、その協会を養うために新たな規制を創出し、ますます役人天国が堅固な体制になっていくのでしょうね。
規制緩和の声もありますが、進まない訳です。
必要な規制なら良いのですが、余計な規制は、結局は国民につけが回ってきます。
どの「業界」も、霞ヶ関に余計な規制強化の「チャンス」を与えてはいけないと思います。
その為には、このような事件が起きる前に、「業界」内部で自己研鑚を積み重ね、自浄作用を働かせる努力を繰り返す事だと思います。
同時に、個人個人も自己を高める努力を、日々繰り返す事が必要だと思います。
そうすれば、その「業界」の社会的地位も、自ずと高まると思います。

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Q69. 本当ですよね。  

A69. 
上記のQ&Aで、確認申請の制度が性悪説に変わったと書きました。
でも、考えてみると、政治家の場合はどうなんでしょうか?
政治活動には、多額の税金が投入されています。
政治資金規正法に基づいて、個々の政治団体=政治家が政治資金収支報告書を、総務大臣か各都道府県の選挙管理委員会に提出する事になっています。
しかし、この報告書に問題点があっても、総務大臣などがまじめに審査し、「問題だ!」と騒いだ事があったでしょうか?
ほとんど全てと言っても良い問題点が、マスコミ等の民間から指摘されていないでしょうか?
しかも、露見した問題点は実に単純な手口ばかりで、こんな事で誤魔化せると考えているのだとしたら、国民を愚弄しているとしか思えません。
政治家はただ単に報告書を提出するだけであり、総務大臣はただ単に受け取るだけである、というのが実態だと思います。
それから、問題点が発覚しても、政治家はトカゲのしっぽ切りのように経理担当に責任を押しつけるだけで、ろくに謝罪もしません。
まさに、性善説に基づいた制度としか思えませんが、性善説に耐えうるような政治家が果たしてどれだけいるのでしょうか?
一方は性善説で、一方は性悪説。
同じ日本国民のはずですが、憲法で保証している法の下の平等という基本原則が、機能しているとはとても思えませんし、納得できません。

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Q70. 熱くなってきましたね。
   そろそろ、話題を変えましょうか?
   リフォームもやっているんですか? 


A70. 
つい興奮してしまいました。
勿論、リフォームもやりますよ。
建て替えであれば、どうしてもその敷地の持っている過去からの記憶が、途絶えてしまいます。
リフォームの場合は、その記憶が途切れず、連続していきます。
既にある物は財産ですから、それを大切にすると言う心構えは、どのような場合でも大事にしたいですね。
それから、新築と違って既存建物という絶対的な条件がある分、普段は考えないようなことも考える必要がありますから、我々としても、結構充実感がありますね。
新旧が組み合わさった空間は、予想以上に面白い建物になって、自分でもビックリする事があります。

既存建物を解体して建て替える場合でも、使えそうな部材があれば、見える形で再利用するようにしています。
記憶は折角の財産ですから、それを継承する事は大事なことだと思います。

リフォームは、数えてみたら今まで31件やっていました。
内訳は、増築+既存のリフォームが14件で、リフォームのみが17件です。
住宅やマンション・事務所・病院・福祉施設、それにレストランなど様々です。
思ったよりも多くて、自分でもビックリしています。
当方の、ホームページでも、リフォーム(住宅)と言うカテゴリーを設けていますので、覗いてみてください。

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Q71. でも、リフォームは大変でしょ? 

A71.
現況の調査もしなければいけませんから、確かに大変ですね。
解体しないと分からない事は、沢山あります。
見えない所を予想しながら検討を進めるのは、どうしてもじれったい気持ちになりますね。
それから、蛇口を取り替えるだけでもリフォームだし、文化財のように、骨組みの状態にまでばらばらに解体してから再建するのも、リフォームと言えます。
どこまでやるのか、判断に迷う場合が非常に多いですね。
勿論、解体したら、想像以上に痛みが激しかったと言う場合も多いです。

それから、リフォームの場合もやはり、我々のような設計事務所に依頼した方がずっと得ですよ。
先日我々がリフォームの設計をした家は、以前から「外壁が痛んでますねー。リフォームしませんか?」と、何社も施工会社が営業に来ていました。
そのお施主さんは、我々と旧知でしたし、内部もいじりたかったので我々に設計を依頼してきました。
それで、外壁だけの工事費を比較してみたら、以前営業に来ていた会社の見積り金額は、2.6から3.1倍でした。
しかも、その金額は、上代から大きく値引きしての数値ですからね.

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Q72. ビックリと言うか、あきれると言うか、言葉が出ませんね。 

A72.
新築の場合、坪単価がどの位と言う、相場がありますよね。
しかし、リフォームの場合は価格が非常に分かりにくいので、価格の差が大きく出てしまうのでしょうね。
首都圏等で、リフォームがらみのトラブルが多いのも頷けます。

それに、折角リフォームするのですから、構造的な問題も一緒に解決したいですよね。
又、施工が始まって解体してみたら、予想と違っていたという事も多々あります。
場合によっては大胆に頭を切り替え、大きくデザインの方向性を転換する事もあり得ます。
そんなこんなで、リフォームの方が、新築の場合よりも建築的に高度な判断が必要だと思っています。
それから、リフォームの場合、どうしても現況調査に多くの労力を必要とする事があります。
その時は現況調査費として別に頂く事もありますので、了承して下さい。
それから、新築の場合でも、将来のリフォームを意識しながら設計しますね。

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Q73. ほー! 具体的にどうしているんですか? 

A73.
木造の場合であれば、壁量に余裕を持たせますね。
それから、外壁に構造壁を集中させ、間仕切り壁は出来るだけ、構造の壁にしないようにしています。
そうすれば、柱の撤去は検討が必要ですが、壁の撤去は可能です。
鉄筋コンクリート構造なら、余計な構造壁を作らないようにします。

それと、将来、間仕切りをいじりそうな場所は、床や天井を仕上げてから、間仕切り壁を作るようにしていますね。
そうすれば、壁を撤去した時に床や天井に穴が空いて、床下や天井裏が見える、などと言う事もありません。
将来、二つの子供部屋をまとめて、一部屋にしたい時も簡単ですね。
高齢になった時、寝室から直接トイレに入るようにしたい時も、最初からそのように考えておけば、簡単に出来ますよね。

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Q74. 確かに壁を撤去した所から、床下や屋根が見えたりしたらリフォームも大変ですよね。 

A74.
そうですね。
壁を建ててから、部屋毎に床や天井を工事すると、隣の部屋と微妙にレベルがずれている事がよくあるんですよ。
折角ワンルームにしたのに、床が凸凹していたら嫌ですよね。
でも、天井と床の施工を壁よりも前にすれば、その心配もありません。
それと、リフォームと近いのですが、コンバージョンというのもあるんですよ。

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Q75. コンバージョン ってなんですか? 

A75.
リフォームとは、用途変更を伴わない改装の事を言うんですよ。
例えば、住宅を改装して、そのまま住宅として使ったりするような場合ですね。
それに対してコンバージョンとは、用途変更しながら改装する事を言います。
そのような目で見れば、コンバージョンしたらもっと活用出来るのにナー、というような建物が町中に点在していませんか。
例えば、事務所をコンバージョンして集合住宅にするとか、ショッピングセンターをコンバージョンして福祉施設にするとか。
よく、観光地で昔の建物を改装して、資料館などとして活用しているのを見かけますよね。
これもコンバージョンの一例です。
まだまだ構造的には大丈夫なのに、機能的に古くなったからといって解体される建物が、本当に多いですよね。

ただ、コンバージョンは、建築基準法上は用途変更に該当します。
そうなると法規的に厄介になる事が多いので、注意が必要ですね。
本当は、この手続きを簡単にして欲しいのですがね。
資産の再活用が一気に進んで、街は活性化すると思いますよ。

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Q76. 本当に勿体ないですよね。  

A76.
弘前でも、中心部の人口減に合わせて小学校を統合させたために、余った校舎をどうしようかと悩んでいるようですね。
これなんかは、共同住宅にしたらいいと思いますよ。
普通教室の大きさは、マンションで言うと3LDKくらいの大きさなので、丁度いいですよね。
勿論、3LDKとか固定的に考えないで、大きくワンルームにしたり、SOHOにするなど発想を柔軟にして考えたいですね。
コーポラティブやコレクティブハウスも、面白いと思いますよ。
小学校が共同住宅になるって、楽しくないですか?
天井も高いですし、面白い空間になると思いますよ。

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Q77. 又、専門用語が出てきましたね。 

A77.
SOHOというのは、Small Office Home Officeの略で、自宅などを仕事場にするという意味です。
インターネットの普及で、会社に居なくても仕事が出来ることから、最近増えているんですよ。
コーポラティブハウスというのは、入居希望者が共同で事業主になり、土地の取得から設計者・建設業者の手配までを行うことを言います。
いわゆるディベロッパーを通さないので、広告費などはかかりませんから、安く出来ます。
それに、平面や仕上げなども自由に出来ます。
その代わり、何でも自分たちでやらなければいけないし、皆さんの合意形成に手間取るかも知れません。
でも、完成した時の満足感や完成後のコミュニティのことを考えると、それまでの苦労は吹っ飛んじゃうでしょうね。
コレクティブハウスというのも、共同住宅の一種です。
それぞれの私生活の部分とは別に、共用の食堂や台所・居間などを確保し、生活の一部を共同しようと言うものです。
どうです? 集合住宅というのは、色々な形態があるんですよ。

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Q78. なるほど。 色々あるんですね。  

A78.
そうですね。 集合住宅だけでも、新しい形態がまだまだあると思いますよ。
頭を柔軟にして、もっと自由な発想をしていいと思います。
それからもう一つ、コンバージョンのアイデアがあるんですが。
小学校を、お年寄りの施設にするというのはどうでしょうか。
眺めのいい2階は、居住施設にして、便利な1階は、通所のデイサービスセンターにしてもいいですよね。
昔、この小学校に通っていたお年寄りが、喜んで通って来そうじゃないですか。
お年寄りにも当番を決めて、「今日は給食当番だ」とか、「明日は図書委員だね」なんてやると、もっともっと楽しそうでしょ?

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Q79. 学校ごっこですね。 お年寄りも若返りそうですよ。
   そのアイデア、どこかで採用しないかナー? 
 

A79.
だけど、先日聞いた話では、学校として国から補助金を貰っているので、廃校になったからと言って学校以外の用途に使うのは、目的外使用になるので、問題になるらしいですね。
ただ、教育関係とか庁舎として使用するのは、許されるらしいとのことでした。
廃校になる位ですから相当古い建物なのですが、それでも国の規制が絡んでくると言うのは、呆れるやら、情けないやら、無茶苦茶な話しですよね。
これこそ、規制緩和するべきだと思います。

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Q80. え~っ?! 本当ですか?   無茶苦茶腹が立ちますね。 

A80.
補助金を返せば自由に出来るみたいですが、元々は同じ税金ですから、それを返すというのも変な話しで、やっぱり腹が立ちますよね。
縦割り行政の、典型的な弊害だと思います。

でも安心して下さい。
最近、そのような阿呆らしい規制が、無くなったみたいです。
これで、廃校となった学校を何かに利用するという話題も、増えてくるのでしょうね。
と思ったら、まるでそのような動きが見えてこない。
折角の優良資産があるのに、それを活用しようとしないのは、行政の怠慢だと思います。
やっぱり腹が立ちます。

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Q81. 話がそれて来ましたよ。 

A81.
そうですね。 気持ちを切り替えて、元に戻りましょうか。
中心市街地の施設が余ったり、商店街が廃れたりしているのは、中心部の人口が減っているからです。
人口とは、そこに住む人だけでなく、そこに通って来る人、つまり昼間の人口も含めて考えた方がいいと思います。
たとえば、学校とか事務所とか役所とか施設とか、色々ありますよね。
中心部の人口が増えれば、お客さんは増えますから、心配しなくても自然とお店も増えます。
それなのに、無理に再開発して集客施設を作っても、根本的な問題を解決していないから、結局は破綻の道を辿ります。
順番を変えて、まずは中心部の人口を増やすことだけを考えた方が、結局は中心市街地活性化への近道だと、私は思いますけどね。
廃校をお年寄りの施設にするというアイデアも、このような視点から発想した物です。

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Q82. 色々考えていますね。
   もしかして、都市計画もやっていたりして。 


A82.
都市計画というと大袈裟ですが、地区計画は何度か関わっています。
仙台の商店街近代化計画や、鳴子町の鳴子峡整備計画など等、色々携わっていました。
それから、青森市都市基幹公園ビジョン調査も、縁があってやっています。
その建物だけを見れば大変立派であっても、地域の中の一つの存在として見た時に、違和感があればどうしようもないですね。
建築家は、狭い意味での建築だけをやっていても、限界があると思います。
もっと視野を広げ、地区計画的なマクロの視点や、インテリア的なミクロの視点も養って、多角的に建築を考える必要がありますね。

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Q83. と言うことは、例えばお店のインテリアも、やっているんですか? 

A83.
実は、インテリアデザインは元々好きなんです。
仙台にいた頃、インテリアデザインの事務所に、武者修行に行った位なんです。
ブティックが多かったですね。
ルイシャンタンやFACE A FACEやコルディアなど、名前もお洒落ですが、インテリアもそれと同じ位お洒落なお店でしたね。
建築は、外観がよくてもインテリアが駄目だと、退屈でどうしようもないですからね。
建築にとってインテリアは、非常に大事な要素だと思っています
弘前で事務所を開いてからも、フランス料理のレストランや、携帯電話のショップをやっています。
家具だけを、依頼されたこともあります。

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Q84. 又話しは変わりますが、家相については、どう考えていますか? 

A84.
家相と聞けば、「迷信じゃないの?」と思う人もいると思いますが、家相には家造りのための知恵が一杯詰まっています。
昔の人は、家相という形で、人の健康や建物を長持ちさせる事などを考え、後世に伝えたかったんでしょうね。

例を挙げて、説明しましょうか。
例えば、「台所が南西にあるのは大凶」というのがあります。
大凶と言われれば、これは大変だ、絶対守らなければいけない、などと思いますよね。
確かに南西は裏鬼門なのですが、「南西の部屋は日当たりがよく、温度が上がるので食べ物が腐りやすいですよ。」という意味なんですよ。
言い換えれば、「食べ物の廻りの温度は上がらないようにしましょう」と教えているんです。
今だったら冷蔵庫はあるし、それに西に木を植えたら、西日を気にする必要がないかも知れませんね。
もしかしたら、西隣に家が迫っていて、西日が当たることがないと言う場合もあります。
そのような場合は、南西に台所があっても問題になりませんね。
山王の家は実際、そのように設計したものです。
どうしても、昔の台所は北側の寒いとろにありがちでした。
しかし、敷地条件を読み込んで、問題となるところを解決した上で、主婦が一番長く居る台所を、明るい所に持っていけば、気持ちのよい空間になりますよね。
そうすれば、家族のみんなも、自然と台所仕事を手伝うようになりますよ。

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Q85. なるほど。 他にも何か面白い例はありますか? 

A85.
そうですね。「風呂桶を壁に寄せて置くのは凶」と言うのもあります。
どうですか? この家相を守っている家は、ほとんど見かけません。
大きな銭湯や温泉なら、この家相を守っている所もありますけどね。
この家相の意味は、「昔の風呂桶や内装は木製なので、風呂桶を壁から離して乾燥させ、腐らないようにしましょう。」という事なんです。
でも、今なら腐らない素材が、沢山あります。
それに、換気扇は当然付けますし、それでも心配なら、天井埋込みの換気乾燥機もあります。
もし、風呂桶や内装を木製にしたい時は、この家相を読み替えて、木が腐らないように工夫する事と、木が腐っても取り替えやすいような施工を考えれば良いんですよ。

ちなみに、私の所ではよく浴室を床暖房しています。
冬は暖かいし、乾燥が早いので本当に便利です。
冬に洗濯物を干したり、塗れた長靴を乾かすのには最適ですね。

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Q86. お風呂の床暖房は気持ちいいでしょうね。
   ところで、耐震診断はやっていますか? 


A86. 
はい、やっています。
木造住宅を想定した耐震診断の方法が、日本建築学会等から出されています。
基本的に、目視とヒヤリングによる簡単な方法ですが、これで大体の目安が分かると思います。
古い木造住宅をリフォームしたいという場合などに、参考になるのではないでしょうか。
勿論、もっと本格的にやる事も可能ですよ。

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Q87. 日本の木造住宅は、耐用年数が短い気がしませんか? 

A87.
特に、戦後すぐの頃はバラック建築が多く、それが建て替えの時期を迎えていますから、日本の木造建築は耐用年数が短いようなイメージがありますよね。
でも、世界で一番古い木造建築は法隆寺ですから、日本の木造建築が一概に耐用年数が短いとは言えないと思います。
法隆寺の場合、飛鳥人の知恵がしっかりと建物を守っていると言うことと、建物が人々に愛され続けたから、これだけ長い歴史を耐えて来たのでしょうね。
一般的には、20年ごとに建て替える伊勢神宮は極端な例ですが、日本は安普請に造って古くなったら建て直すと言う考え方が、伝統的に根強いと思います。
それと欧米のように、自分でメンテナンスするDIY的な考え方が、薄いような気がします。
要は、建築に対する人々の意識と愛情の問題だと思います。

もう一つ、日本は雨が多いと言う事が、大きいと思います。
つまり、雨が多い地域なので山に行けば木が豊富にあって、材料の調達にあまり困らない(昔の話しですが)ですよね。
それと、雨で屋根や壁が傷んだり、床下の木が湿気で腐っていることも多いですね。

しかし、これからの建築は、もっともっと長い耐用年数であるべきだと思います。
じっくり吟味し、しっかりした建築、末永く愛される建築を創っていくべきだと思います。
それが一番のエコノミーだし、一番のエコロジーだと思います。
それをやっていかないと、暮らしも気持ちも豊になっていかないのではないでしょうか。

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Q88. 模型をよく作っていますね。 

A88.
そうですね。
施主さんにお見せする模型の他に、簡単なボリューム模型も沢山作っています。
建物や空間のイメージを理解するためには、模型が一番適していますね。
施主さんに、とても喜んで頂けますので嬉しいのですが、本当は施主のためと言うよりも、自分達で検討し確認し納得するための模型なんです。
つまり、建物をよりよい物にする為の、道具のような存在です。

具体的な仕事の流れでいくと、計画案がまだ曖昧な状態で、簡単なボリューム模型を何案か作ってみます。
そのボリューム模型を見ながら「本当にこの案でいいのかな...?」と、しばらくの間自問自答します。
時間を置いて案を見直すと、いいと思っていた案が、まるで納得できない、つまらない案に見える事も多々あります。
「よし。これで行ける!」と確信したら、具体的に計画案を図面化し、もう少し詳しい模型を作り、施主と打合せをします。
打合せで、変更があればまた同じような作業を繰り返します。

図面では分かりにくくても、模型は立体ですから一目瞭然です。
ことわざで言う「百聞は一見に如かず」ですよ。
それと、模型を見ていると、新たな発想やアイデアが出てきますね。

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Q89. 模型でみると、本当に解りやすいですね。 

A89.
私たちは、あずましい「空間」を創りたいと、いつも考えています。
最初は「空間」のイメージは曖昧で抽象的な物ですが、段々とそれを具体的な物にして行かなければなりません。
その為には、自分の手を動かしながら模型を作る作業は、最適の方法だと思っています。
但、あまり具体的に模型を作ると、それにイメージが固まってしまいますので、適度に抽象性が残っている模型がいいですね。
抽象性と具体性のさじ加減が、難しい所です。

それに、図面やパースは2次元ですので、どうしても3次元である空間を表現するのに、無理がありますね。
それから、絵としての表現に、どうしても誤魔化されてしまいます。
つい建築の本質からずれて、形としての面白さや表層のデザインに走る傾向が、あるような気がします。
その点、模型は空間とボリュームが見えますから、誤魔化しが利きません。
皆さんどうですか?
事務所にいっぱい模型がありますから、見に来ませんか。

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Q90. 天窓のある建物が多いですね。 

Q90.
天窓があると、やはり気持ちがいいですね。
天窓からの光は、実に明るく、清々しいです。
それに、天窓を開けると天井付近に溜まった熱気が、抜けて行きます。
合わせて、低い所の窓を開けておくと、煙突効果で一気に高い所の熱気が抜けて、低い所の窓から涼しい風が入って来ます。
空気は、温度が高くなれば軽くなって、ドンドン上にのぼって行こうとしますから、風のない時でも、十分な換気量が確保できます。
つまり、高低差を利用した換気ですね。
このように、天窓があれば、光と風をいつでも感じる事が出来ます。

以前建てた建物に、猛暑の時にお邪魔した事があります。
果たして、中はどの位暑くなっているのか、少々心配していたのですが、実に涼しくさわやかな空気で、「エアコンを付けているのかな?」と勘違いした程でした。
施主も、自然の風が快適で、「折角エアコン付けたけど、全然使っていないよ」との事でした。

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Q91. エアコンいらずは、嬉しいですね。 

Q91.
エアコンの風と自然の風は、全然違いますからね。
それから、当方でよく採用している天窓は、非常に高い防水性と断熱性能と気密性能を兼ね備えた、木製の建具です。
積雪寒冷地でも、問題なく使用できます。
特殊なペアガラス(Low-eトリプルコーティング)なので、紫外線も99%カットしますし、夏でも暑くなりません。
電動で開閉するのですが、雨が降れば、降雨センサーが働いて勝手に閉じてくれます。
お出かけの時、1階の泥棒が入る事が出来ないような小さな窓と、天窓を開けておけば、帰って来た時も涼しいですし、快適で安心ですね。
それともう一つ、強化ガラスと合わせガラスのペアガラスが標準ですから、台風で何かが飛来してきて割れると言う心配もありませんね。

天窓ではなく、一番高い壁に窓を開けて開閉するだけでも、夏の暑さ対策として、とても有効だと思います。

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Q92. なるほどね。 青森県は積雪寒冷地ですが、夏も結構暑いですもんね。
   それから、庇を大きく出している建物が多いですね。 


Q92.
少しくらい雨が降っても、窓を閉めないでいたいですよね。
冬でも、居間の窓の前にあんまり雪が積もっていない方が、気持ちいいですよね。
太陽が出ていても、庇で眩しさや暑さを遮ってくれると嬉しいですよね。
雨が降っても、外で遊びたいですよね。
雨や雪で、建物が痛まない方がいいですよね。
雨が降っても、あわてて洗濯物を取り込まなくていいのも、助かりますよね。
買ってきた物や、自転車など、とりあえず屋根の下に入れておけば、雨が降っても安心ですよね。
それに、庇の下にいると、気持ちが落ち着きませんか?
テーブルを出して、食事でもしたくなりませんか?

そんな色々な事をコントロールして、建物や人間を守ってくれたり、心地よくしてくれたりするのが庇なんですよ。
日本は雨や雪が降る地域ですから、その風土に合わせた建物にしたいですね。
予算がないと直ぐ削られますが、大事にしたいですね。

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Q93. 本当に大事にしたいですよね。 

A93.
先日、久しぶりにある武家屋敷を、見てきました。
チョットした事なのですが、そこの縁側を見てビックリしました。
江戸時代の建物ですから、雨戸で雨露をしのいでいるのですが、その雨戸の上の部分が、明かり取りのために障子紙が貼られているんですよ。
「この障子紙は、雨で破れないんですか?」と聞いてみました。
そしたら、「庇があるので、雨が降っても濡れないんですよ。」とのことでした。
そんなに大きな庇ではないのですが、効果は大きいですね。

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Q94. それはビックリですね。
   そう言えば、津軽には「こみせ」と言うのが昔からありますね。 


A94.
基本的に「こみせ」は、冬でも商店街を歩きやすくする為にあると思われるかもしれません。
しかし、冬以外にも、それに商店街以外でも大変重宝する物ですね。
「こみせ」があると、何となく外に出たくなりませんか?
「こみせ」に椅子を出して、モーニングでも食べたくなりませんか?
「こみせ」で、夕涼みもいいですよね。
外にいる開放感と、屋根の下にいる安心感の両方を味わえる、ちょっと贅沢な空間です。
我々の設計する建物にも、「こみせ」はよく登場しますよ。
たとえば、 四季彩館 すばる103 県営住宅 山田団地 等です。
他にも住宅などに沢山の例がありますので、ホームページの中を覗いてみて下さい。



Q&Aは、随時追加しています。


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  1. 1993/06/01(火) 01:00:00|
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